保健学科_研究紹介2021
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―21―検査技術科学専攻線維化進展機構の解明と遺伝子検査技術の改良:基礎的・臨床的研究の両輪を意識して 生化学や遺伝子検査学などを担当しています。病院での実務経験を通して、病態を把握できる新規バイオマーカーを見出すことや検査法の改良の重要性を感じました。新規バイオマーカーを見出すためには、基礎的研究が必要です。現在、「線維化進展機構」について研究を行っています。細胞傷害、酸素濃度や細胞密度の変化、脂肪酸などの刺激に対する分子の動きを細胞間相互作用に注目し分子生物学的手法を用いて解析しています。また、臨床的研究として、「遺伝子配列特異的定量 PCR法の改良」を行い、病原体や腫瘍細胞の識別・量的評価への応用を検討しています。常に基礎的・臨床的研究という両輪を意識して研究を展開しています。 臨床検査技師が習得できる技術はタンパクから遺伝子レベルと広範囲に及びます。検査の実務経験は研究活動に活かせます。臨床検査技師の学術的好奇心や研究領域は臨床医とのコミュニケーションによって制限なく広がります。あらゆる領域・疾患について興味を持っても良いのです。病態を把握する新規のバイオマーカーを見出す病態解析研究や検査法改良は臨床検査の実務に還元できる可能性があります。 学部教育や研究活動から「変化に気づき、課題を見出し、そして解決する」という基礎力を養った臨床検査技師は病院・研究機関・企業などあらゆる分野で活躍できます。それは、生体情報(検査値)を扱う臨床検査技師が医学・医療に貢献できることを意味します。生体情報検査学研究から広がる未来卒業後の未来像線維化進展機構の解明 「細胞間相互作用」「細胞傷害・脂肪酸・細胞密度」「線維化促進タンパク(オステオポンチン,OPN)」遺伝子変異・多型を標的とした遺伝子配列特異的定量PCR法の改良臨床検査分野の研究における大切な両輪東京医科歯科大学医学部保健衛生学科卒業信州大学大学院博士課程修了(学位:博士(医学))信大病院臨床検査部副技師長(遺伝子・染色体検査)2018年 現職松田 和之 教授検査技術科学専攻喘鳴を呈する疾患を総合的に捉え、より確実な診断・治療方法を追究する 生理学、呼吸機能検査実習、医用電子工学・センサ工学を担当しています。また、内科および呼吸器内科専門医、呼吸器内視鏡専門医として附属病院で外来診療、内視鏡検査をおこなっています。  研究対象は、「喘鳴(ぜんめい)を呈する疾患」です。気道の狭窄では、気管から末梢の細い気管支までいずれの障害においても喘鳴を呈します。これら疾患を包括的に捉え、細胞レベルの研究から臨床研究、地域貢献まで幅広く取り組んでいます。通常の内視鏡では観察することができない細気管支を新規開発内視鏡で観察、診断、治療を試み、中枢気道と末梢気道の狭窄の類似点・相違点を呼吸機能検査を用いて解析し、また地域の院外薬局を吸入指導連携を構築しています。 どの疾患でも遺伝子から細胞、組織、臓器、そして人体と、統合され固体が形作られている。これは疾患も同じであるという観点から、ある一つの事象を発見したら、それが他のレベルではどのように影響し、作用しあって一つの疾患を形成しているのかという観点で研究を行うことは、単なる一研究に留まらず、臨床検査に対する考え方、取り組み方にも還元されます。 学部での教育、その後の研究活動を通じて、将来どのような領域の職種に就いても、そこで新たな疑問点と解決方法を発見し、追究できるようなプロフェッショナルとしての臨床検査技師を目指しましょう。生体情報検査学研究から広がる未来卒業後の未来像中枢気道狭窄の治療前後の呼吸抵抗超細径内視鏡による呼吸細気管支の観察地域の院外薬局との吸入指導連携信州大学医学部医学科卒業後、信州大学医学部内科学第一教室に入局。同大学院を修了し医学博士を取得後、米国バージニア州立大学に留学。内科学第一教室講師を経て、2021年より現職。安尾 将法 教授

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