保健学科_研究紹介2021
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―18―看護学専攻広域看護学領域安全安心な精神科医療のために 入院環境での精神障害をもつ当事者の攻撃性へのケアを中心に研究しています。また、アセスメントツールに関すること、マネジメントに関することについて研究しています。2005年からはCVPPP(Comprehensive Violence Preven-tion and Protection Program)というプログラムの開発に携わり攻撃性へのケアの理論開発とそれに伴う研究をしてきました。攻撃性へのケアとは保安のことではありません。当事者の攻撃性に対して思いに耳を傾け対話する中で当事者の味方となり、安心して過ごすことができるように援助する方法は精神看護の基本となるスキルです。 プログラムは看護者だけがよくなるためのものというわけではなく、当事者と看護者が相互理解を深めていくことを助け、当事者にとっての利益につながります。病院や施設の中で当事者も看護者も安心できる環境になるように研究を進めています。 多いというわけではありませんが、卒業後すぐに精神科に就職を希望する学生さんもいます。心の時代といわれる現代です。ぜひ多くの学生さんに精神科看護師として活躍してほしいと思います。精神看護学研究から広がる未来卒業後の未来像怒りが強くなって爆発するところから落ち着くまでのサイクルとその間の介入を示したモデル。大きな噴火は大爆発を示しています。その後もしばらく煙が出てくすぶっているのは興奮がなかなか冷めないところを表現しています。上の図を説明しているところです関わりを振り返る演習をしているところです山梨大学大学院医学系研究科博士課程生態系修了臨床経験は東京都立松沢病院に17年間勤務下里 誠二 教授看護学専攻広域看護学領域在宅看護学:病院中心の看護から、地域での生活と医療をつなぐ、支える看護へ 病気や障害を持ちながらも、住み慣れた地域で、その人や家族の暮らしを見据えて、考え、行動できる看護師が求められています。治療優先ではなく、その人が望む生活、より安心な生活を送るために健康が必要であることを基盤に、心を支える専門職を育てたいと思います。身近な地域には支援を必要としている方が多くいらっしゃいます。その現状に気づくこと、できることはないか考えることが重要です。 私は、生活するために医療が必要で長期に渡る療養生活を余儀なくされている難病の方やご家族への支援、病院と在宅等の療養の場の移行する上での連携に関すること、災害弱者と呼ばれる災害要援護者支援体制作りに関すること等を主な研究テーマとして取り組んでいます。 地域包括ケアの推進、地域共生社会を目標に、看護職の活動の場は地域に拡がっています。人々が地域で暮らし続けるために保健・医療・福祉の切れ目ない連携は益々重要になっています。私は、ICTを活用した多職種情報共有システムによる在宅チームケアに関する研究に取り組んでいます。安心・安全な生活を支援するための体制つくりを現場の看護職や他分野の方々と追及しています。 病院に入院している患者様は、地域で暮らしている方です。その方の理解や支援には、学生時代から地域や社会に関心を持ち、様々な場に積極的に出向き、経験する、様々な人と話す、聴く、一緒に考えるなどが重要です。それが看護の大きな力に繋がります。在宅看護学研究から広がる未来卒業後の未来像学内での学生による模擬訪問看護演習の一場面千葉大学看護学部卒業。聖路加国際病院勤務。信州大学医療技術短期大学部助手、松本短期大学勤務を経て、本学保健学科看護学専攻に着任。群馬大学医学研究科修士課程修了。高橋 宏子 准教授学内まとめの一場面在宅看護実習のまとめ

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