2022工学部研究紹介__日本語版
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研 究 シ ー ズ共同研究・外部資⾦獲得実績研究キーワードマイカ(フッ素雲⺟)・層状化合物・アルミナ・インターカレーション・多孔体•マイカ結晶の低温合成・インターカレーション(豊富に存在する天然鉱物を原料とするマイカセラミックスの低温合成プロセス,インターカレーションを利用したミクロ多孔体の合成等)•アルミナ粉末の合成と相転移制御(ゾルゲル法によるαアルミナの低温析出,高耐熱性γアルミナ粉末,ベーマイト等)•層状結晶を利用する多機能ミクロ多孔体の合成とナノ空間の修飾(科研費)•新規置換型マイカ群の創製と層間架橋型ナノ多孔体の高機能化(科研費)•膨潤性大粒子マイカ群の体系的創製と層間架橋(一般財団法人信州大学工部若里会研究助成)最近の研究トピックス・Li型マイカ結晶の生成と膨潤能に与えるフラックス種および合成条件の影響・膨潤性Na型テニオライト系マイカの固相反応による合成・層電荷の異なるNa型マイカ結晶の大気中固相反応による合成・カオリナイトを用いるフッ素パラゴナイト系マイカセラミックスの合成と水熱処理による膨潤化・Al錯体ゲルからのαアルミナの低温析出・ゾルゲル法によるγアルミナの相転移制御・Al錯体水溶液を用いるMgAl系,ZnAl系層状複水酸化物の合成【写真&写真キャプション】写真フォーマット:上下2つのエリア分。幅約311px程度の画像ゾルゲル法で低温合成したαアルミナ微粒子。少量の有機物を含むゲルから、極めて低温域でαアルミナが生成することを見出した准教授⼭⼝ 朋浩研究から広がる未来卒業後の未来像私たちの身の回りには、いろいろな無機材料・セラミックスが使われています。山口研究室では、マイカ(フッ素雲母)やアルミナを中心とした、様々な無機材料の合成や応用に関する研究を行っています。マイカの研究は、信州大学工学部において古くから継続的に行われているものです。現在は、新しい膨潤性マイカ結晶の合成や粒子形態の制御、マイカ結晶の層間にナノ空間を形成した複合体の合成や機能化に取り組んでいます。また、無機塩水溶液を利用する新規ゾルゲル法によるアルミナセラミックプロセスについての研究を進めています。卒業(あるいは大学院修了)後は、セラミックスやガラスに関係する企業のほか、電機・電子関係や化学・材料系のメーカーに就職する学生が多く、研究室の卒業・修了生が様々な分野で活躍しています。信州大学大学院工学系研究科修了。信州大学助手および助教を経て、2011年より現職。研究分野は無機材料化学、セラミックス、粘土科学など。化学を活かして無機材料を創る。セラミックスの材料化学【私の学問へのきっかけ】中学の頃から化学が好きでした。化学を勉強しようと思った一番のきっかけは、やはり「好き」だったから。大学では食品に関係する化学を勉強したいと漠然と考えていました。その後、食品から無機材料に興味が移ったきっかけはまったく覚えていません。現在行っているマイカ(雲母)に関する研究は、信州大学工学部で古くから続いてきたものです。私がこの研究を始めたのは、卒業研究のテーマとして先生から勧められたことがきっかけです。「好き」で始めた化学の勉強と、大学での恩師との出会いが現在につながっています。物 質化学科マイカやアルミナといった無機材料は古くから研究・利用されてきたものですが、研究を進める中で、これまでにない組成のものをはじめて合成できたり、これまでにない現象を見出したりすることが多くあります。こういった小さな積み重ねが、これまでの“当たり前”を覆すような新しい発見につながるかもしれません。NaClをフラックスとして用いる方法によって合成した、六角板状の自形をもった膨潤性マイカ結晶試料作製や分析の様子。4年生や大学院生がそれぞれの研究テーマのもと実験を行っている24

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