2022工学部研究紹介__日本語版
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研 究 シ ー ズ共同研究・外部資⾦獲得実績研究キーワードリポソーム ・ 脂質2分⼦膜 ・ ⼈⼯細胞膜 ・ 細胞類似マイクロ化学システム•非天然型構造を持つ脂質の合成•天然および人工脂質から脂質2分子膜小胞(リポソーム)の形成・修飾・応用•エレクトロフォーメーション等、巨大リポソームの形成技術•マイクロマニピュレーション等による、内部構造を持つ巨大リポソームの形成技術•「人工細胞集積・複合化システムの構築」(科学研究費補助金)•「「ソフトでウェット」なマイクロ化学システム-人工細胞の構築」(科学研究費補助金)•「細胞類似型マイクロ化学システムをめざした次世代人工細胞膜モデルの研究」(科学研究費補助金)最近の研究トピックス◀ エレクトロフォーメーションで形成した脂質膜小胞(リポソーム)(Y.Okumura他,Membranes, 1, 345)マイクロマニピュレーションによる脂質膜小胞形成(Y.Okumura他,Membranes, 1, 265) ▶ ◀ エレクトロフォーメーションで形成した脂質膜積層構造体(Y.Okumura他,Membranes, 1, 345)教授奥村 幸久研究から広がる未来卒業後の未来像科学の進歩により、細胞が化学的原理に基づいて働くシステムであることが明らかになりました。そこで同様の化学的原理を工学的に使い、細胞と似たマイクロ化学システムを人の手でつくりだそうという考えが生まれました。研究テーマの1つは、細胞類似マイクロ化学システムにおいて、細胞膜に相当する役割を果たす脂質2分子膜小胞(リポソーム)の開発です。この構造はシステム外界と内界との境界・インターフェースであるとともに、タンパク質に相当する機能分子群を保持する役割を持つなど、システム構築の基盤となる重要な部分です。高度な細胞類似マイクロ化学は、擬似細胞をマイクロマシンとして利用する新治療法や無毒性の「農薬」など、生命現象と関わる分野の技術革新につながります。長期にわたる研究と開発が必要となる重要な課題です。卒業生は、化学につながりを持つ様々な分野で活躍しています。研究室では研究活動を通して、事象を深く観察する、論理的に考察する、物事を的確に伝えるなど、分野によらず共通して必要となる能力を伸ばすことを大切にしています。京都大学助手、信州大学助教授を経て2012年より現職。研究分野は有機化学を背景とした分子集合体化学、特に脂質2分子膜小胞(リポソーム)の化学。細胞類似マイクロ化学システムをめざして【私の学問へのきっかけ】高校生の頃から化学は特に好きな科目でした。特に、持っている物質からまだ手にしていない別の物質を作り出す合成化学に興味がありました。「錬金術」(に近いこと)が自分の手で実際にできるわけです。本格的な合成化学は知識以外に化学物質や実験設備が必要なので、大学でなければ修得が難しい技術の1つです。また、化学を学べば医薬、生命科学、材料など関連する他の分野ともかかわる事ができるという点も進路選択にあたり魅力を感じました。巨大リポソームの形成実験の様子巨大リポソームは細胞と同程度の大きさを持ち、光学顕微鏡で直接観察することができる巨大リポソームに対するマイクロマニピュレーション人工授精などと同様に極細のガラス針を通して物質を注入するなどの操作ができる物 質化学科10

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