経法学部研究紹介_2020_2021_プレス品質
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15応用経済学科経済の理論、そしてそれに基づいて経済の歴史と現状を考える 資本主義経済の運動を、理論と歴史、さらに現状から分析することを研究課題としています。K.マルクス『資本論』を主なベースとした経済原論が専門です。私たちが今、そのもとで暮らしている資本主義経済とは、16世紀にヨーロッパの一角に発生し、その後数百年のうちにほぼ全世界を覆うに至った経済システムです。この資本主義経済は、資本主義である限り、そこから離れることのできない共通のメカニズムに等しくのっとりながら、歴史的には各国経済として、それぞれ独自な発展を遂げてきました。その延長線上に、今日私たちが目にする現代の世界経済が存在しています。資本主義経済の現状を、そうした原理的な論理性、通時的な歴史性、共時的な空間性という3面から総合し、研究することを目指しています。 経済学という学問は、しばしば「市民社会の解剖学」と言われます。人間は、物質的な環境から生活資料や生産手段を取得し消費しなければ生きていけませんが、近代の市民社会(資本主義社会)は、これを売りと買いの関係(商品経済といいます)で充足している点に最大の特徴があります。18世紀のアダム・スミス以来、経済学は、売りと買いによって果たされる社会的な物的再生産関係を明らかにしようとしてきました。その意味で経済学は、その折々の社会の客観的・物量的な構造を、最も分かりやすいデータや論理によって明らかにしてくれる「社会の解剖学」なのです。経済学を学ぶことは、社会を理解するツールを身につけることになります。 ゼミでは、まず経済学の古典を読み解き、その論理を自分なりに咀嚼できる読解力を養うとともに、その後はそうした論理を経済の現実に応用できるように、世界経済や日本経済に関する文献を読みます。その中で議論を戦わせることによって、ディベートする力を身につけます。こうした能力はきっと社会に出て役立つはずです。・恐慌論・景気循環論に関する理論的研究・国際通貨ドルの流通根拠をめぐる研究・資本主義の歴史的発展史に関する研究・21世紀型金融危機に関する研究・価値論・価格論・転形問題に関する研究・貨幣論に関する研究                など。『資本論』初版(1867;法政大学大原社会問題研究所所蔵)吉村 信之 准教授東京外国語大学外国語学部卒業。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。東京大学大学院経済学研究科・経済学部助手、信州大学経済学部講師、同助教授、同准教授を経て現職。研究の未来と卒業後の将来像主な研究事例

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