人文学部研究紹介2021-2022
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PROFESSORS 5│人文学部研究室教員速水香織 HAYAMI, Kaori人文学部 日本言語文化コース 准教授文芸は時代の考え方や世相を映す鏡江戸時代、文芸創出の基盤となった出版文化皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。2013年10月より現職。近世文学,出版メディア研究を専門とする。著書に『近世前期江戸出版文化史』(文学通信/2020)、『假名草子集成』第58巻(共著、東京堂出版/2017)などがある。日本文学を志すきっかけ──先生はなぜ日本文学を志したのですか? 中学1年生のとき、初めて触れた古典の文章が『竹取物語』だったのですが、同じ日本語で書かれていながら、まったく異質な文章だと感じて、ああ、こういう世界があるんだって思ったんですよね。「かぐや姫」の物語の、これが原典なんだって。古典の魅力に触れた、それが最初だったと思います。 大学進学のときも文学部を選択しました。しかし日本文学とは、それまで考えていたよりずっと大きな学問分野でした。実は私、日本文学って、なんとなく国語の延長のようなイメージを持っていたんですね。しかし、高校までの「国語」とは大きく違うところがある。注釈や現代語訳が備わって、研究者がきれいに整えた本文を、内容をきちんと理解していくっていうのが高校での大切な学習内容だと思うんです。けど、大学では、研究が進んだ文献ばかりでなく、まだ誰も手をつけていないような文献を解読するところから始まる。最初、何これ?って戸惑ったんです。でも、この大学に入って初めて原典の解読に取り組んだ経験が自分の中では本当に大きくて、もっとこの世界を知りたいと思って大学院に進学しました。その延長線上に今があるんですね。だから、中学時代に国語でインタビュアー:日本文学分野学生、菊池 聡40

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