人文学部研究紹介2021-2022
36/68

PROFESSORS 3│人文学部研究室教員伊藤 盡 ITŌ, Tsukusu人文学部 英米言語文化コース 教授言語と文学の境界を扱う学問、それが英語の文献学。1965年に東京都で生まれる。1985年慶應義塾大学入学。1991~ 92年アイスランド 政府奨学金給付アイスランド大学留学。2015年5月より信州大学人文学部教授。 主 要 論 文:Agony of Agnostos Theos: Descriptions of Grendelas Nature Genius 『「ベーオウルフ」とその周辺 ̶ 忍足欣四郎先生追悼論文集』(春風社/2009) 161- 182; 「トールキンのファンタジー:創造力の源泉としての中世英語・中世北欧文献学」『探 求するファンタジー:神話からメアリー・ポピンズまで』(風間書房/2010) 181- 225; 「北欧語から英語への借入語としてのTroll」『信州大学人文学部人文科学論集』4 6 (2012) 69 - 83. などなど。言語学は英語を医学的に解剖すること、 文献学はその人間を知ること──英語学ってどういう学問なんでしょう? 英語学には二つあります。一つは英語の言語学(Linguistics)、もう一つは文献学(Philology) です。──その二つはどういったものなんですか? もし英語という言語を人間に喩たとえるならば、言語学は、英語を医学的に解剖することです。英語の皮膚組織を顕微鏡で見たり、眼球の動きを観察したり、耳の構造、内臓を細かく解明していく。一方、その人間がどこで生まれ、どういう本から影響を受けたのか、交友関係、昔どんな作文を書いたかを知る方法もあります。文献学とは、英語をそんな総合的なアプローチで知っていく学問です。──先生が文献学としての英語学に興味をもたれたきっかけは? 正直に言うと、僕は中学・高校のときの英文法の授業が嫌いだったんですよ。小学生のときに『赤毛のアン』に出会い、原書で読みたいと思いました。英文法は『赤毛のアン』を読むため、また英会話をするための道具でした。けれども、中学や高校の英文法って、そもそも「何のために」という問いかけがないまま、やたらと暗記を勧められるじゃないですか。英語は好きだったけど、英文法の授業が大切だとは思えなかった。あ、今は違いますよ。今なら英文法34

元のページ  ../index.html#36

このブックを見る