研究紹介(2021-2022)0610
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32平松晋也教授高知大学農学部助教授を経て、2005年より現職。研究分野は砂防学で、崩壊や土石流の発生メカニズムや予測手法に関する研究を行っている。霧ケ峰高原で実施した登山道侵食に関する現地観測と散水実験。一連の研究成果は、(公社)砂防学会から優秀発表論文賞を授与された。平松研究室では、“山岳地域での土砂生産・流出の原因や土砂災害の対策”に関する研究を行っています。崩壊や土石流などによる土砂災害の発生のメカニズムをはじめとして、森林斜面の土層内に分布している樹木の根系や土の中に形成されたパイプの存在が斜面の安定性に及ぼす影響度評価や森林の伐採が土砂生産に及ぼす影響など、森林の土砂災害抑制機能の定量化やその限界を明らかにしようとした研究も行っています。最近では、一度発生すると大規模災害を引き起こすことになる深層崩壊のメカニズム解明に向けた研究を開始しています。基礎学力と応用力を身につけるだけではなく、論文作成を通して文章作成やコミュニケーション能力を身に着けた4年生・大学院生は、主に国や県、建設関連企業の技術者として活躍しています。災害に強い快適な生活圏と持続可能な生物生産基盤の創生を目指して研究室では、流域内で生産されたり流出する有害な土砂を効率的にコントロールすることにより地域住民の人命や財産を守ることを目的とした研究をしています。最近多発している大雨によって、全国各地で土砂災害が数多く報じられており、本分野は以前にもまして重要になっています。自然の猛威に打ち勝つことはできないかもしれませんが、その力をうまくコントロールすることのできる手法や技術を開発することにより災害に強い快適な生活圏と持続可能な生物生産基盤の創生が可能となります。森林の土砂災害抑制機能その限界の定量化に向けた研究の推進(森林は、我々の生活をどれだけサポートしてくれるんだろう?)土層内部での雨水の挙動の観測:根系周辺崩壊によりむき出しになった樹木根系(森林の崩壊抑制効果はどこまで期待できるの?)腐朽根Φ5.0cm採水部の概要活性根森林土壌採取用100ccサンプラー流域保全学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像森林・環境共生学コース流域保全学研究室研究テーマについて真摯に考え,フィールド調査やディスカッション,既往研究のレビューを通じて,現象やメカニズム・対策について考える力を身につけ,国土保全や防災の分野で活躍できる人材の育成を目指します。福山泰治郎助教金沢大学等を経て2009年より現職。土砂災害の被害を減らすためにできることや,さまざまな外力が自然環境や人間に及ぼす影響を適切に評価することに関心を持っています。土と水の動きをとらえることで土砂災害を軽減し,環境を保全する大雨や雪,地震等といった大規模なかく乱や,それにともなって生じる土砂移動等は自然現象ですが,人間の社会との接点では災害となります。人命や社会の被害を軽減するには,現象を理解し,危険な場所や条件を知ることが大切です。そこで,大雨や雪・地震・凍結融解・シカなどによる山地森林流域の土砂生産のメカニズムについての研究を行っています。現在は,雪崩によって森林が大規模にかく乱された南アルプスの亜高山帯で,倒木や雪崩跡地の土砂移動の研究や,ニホンジカが高密度で生息する地域で,シカが山地斜面の植生衰退と表土移動に及ぼす影響の研究に取り組んでいます。南アルプスなどの中部山岳域や,土砂災害の現場などをフィールドとして,その場所の地形や地質,気象,植生,履歴を理解し,そこで起きている現象を見てメカニズムを考え,防災・減災につなげたいと考えています。研究から広がる未来卒業後の未来像森林・環境共生学コース春先に南向き斜面でササを採食するニホンジカ2017年南アルプス・藪沢の雪崩による倒木

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