研究紹介(2021-2022)0610
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24)青果物機能学研究室果物や野菜は、収穫された後も生き続けています。どのように取り扱うかによって、生命活動が変わり、栄養価や有用成分も変化します。濵渦研究室では、地域の青果物(特にカリンやマルメロなど)を材料に、どのような有用成分を含むか、どのように保存や加工をすればその特徴や有用成分を活かせるかを研究しています。また、野菜は自家菜園で栽培・収穫・利用することが最高の品質を味わえる究極の贅沢です。安全・安心と環境共生を実現できる自然農法を取り入れた自給菜園でいかに品質のよい生産物ができるか、についても研究が始まっています。果物・野菜は人にとって最も身近な生き物かつ食品であるといえます。彼らの生物的特徴や食品機能の特徴をよく知ることは、これからの私たちの健康的食生活を考える上で極めて重要です。現代社会は、人の健康に有益な食品開発と同時に、生物多様性保全などの環境共生が重要な課題となっています。サプリメントとは異なり、食卓を彩る機能もある果物・野菜を彼らの能力を活かした形で栽培・利用する研究は、人と環境にやさしい持続的社会の構築に寄与できるでしょう。卒業生は、果物・野菜を扱う流通業や、ジャム・ジュースなどを扱う青果物加工業をはじめ、その他の食品製造業に多数就職しています。また研究者派遣の業界に入り、企業の研究チームに参画して活躍している人もいます。濵渦康範教授大阪府立大学大学院農学研究科博士後期課程修了、1996年より信州大学農学部勤務。専門は園芸食品利用学。青果品質保全学、食料機能解析学などを担当。抗酸化成分の変動を主に研究。自然菜園方式による自給野菜生産と品質の調査を実施(左)薬用果実(カリンなど)の有用成分を活かした加工も研究(右)各品目に特徴的な機能性成分の調査とともに、おいしさなどの品質にかかわる成分の貯蔵・加工に伴う変化を追究している果物・野菜を知り、活かす。品質と有効利用の科学研究から広がる未来卒業後の未来像植物資源科学コース国際地域開発学研究室浜野充講師近畿大学農学部卒、JICA青年海外協力隊、英UEA農村開発学修士課程修了、JICAジュニア専門員/技術協力専門家/草の根事業(カンボジア)、名古屋大学生命農学研究科博士課程修了、研究員を経て2015年より現職。JICA草の根技術協力(ネパール中等教育の農業教育強化:2020年-)長野県とネパールの中山間地域の農村を研究フィールドとして、その地域で営まれてきた農業や生活、資源利用、農家の組織活動、農業教育の現状と課題について実践的に学びます。日本では過疎・高齢化が進み、ネパールでも都市部への若者の流出が止まらず、農業の担い手不足も深刻です。農業を基盤として培われてきた農村社会の持続性の観点から、課題とその要因を明らかにし解決策を探ります。農家や営農組織の活動、次世代を育てる教育現場に入り、体験しながら観察し話を聞き情報を集めます。グローカルに地域を比較しながら、自然資源・社会資源を基盤とした農業や生活、社会・経済活動の持続性について探求します。グローバル化の時代、アジアの地域と地域が直接つながり、互いに学び合い比較体験を経て、自分が育った地域や農村の農業・産業・経済・生活スタイルの特性や課題に気づくことができます。そのためには、日本の地域社会での人と人の関りの中で地域を主体的に体験し学ぶこと、海外の農村社会の営みに触れ、生活しながら学ぶことの両方が必要です。海外の大学に交換留学することも推奨しています。食品/菓子製造会社、調理機械製造会社、観光サービス、農業法人、JA、国際協力、地方公務員、修士課程進学など様々に活躍しています。グローバルな視点を持ちローカルな課題解決思考・協働力を育てると、日本・世界のどのような職種でも、強みや課題に気づき実践できます。農学を学ぶことで、食と農、仕事と生活、発展と幸福を考え続ける基盤を作ります。日本と開発途上国の中山間地域で、農業・農村生活の持続性について考えるABCDBC集落営農の強みや課題、過疎高齢化地域の農業の持続性を、農地可視化・参与観察・聞き取り調査によって検証します。研究から広がる未来卒業後の未来像植物資源科学コース伝統的な農業、資源利用の方法、集落組織について学び、JICAプロジェクトでは地域農業や教育現場の強み・課題・改善策について現地の教員・生徒と一緒に考えます。ネパール山岳地域:標高2600m長野県中山間地域

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