研究紹介(2021-2022)0610
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14神研究室では、農産および食品バイオマスを飼料原料として再利用するための技術開発を目指しています。現在は、長野県の特産物であるリンゴ、キノコおよび牛乳を一括りにした生産体系を作るために、リンゴジュース粕からキノコ培地を作り、キノコ廃培地から牛用飼料を作るための分野横断的研究を行っています。また、養鶏場からの窒素排出量を減少させ得る給餌プログラムおよび排泄物処理方法の開発を、海外の大学と共同で研究しています。私たちは、環境になるべく負荷をかけないように飼料を生産するために、農産業や食品工業から排出される廃棄物から飼料原料を作りだそうとしています。また飼料の最終形である畜糞を環境負荷の少ない方法で土壌に返すための方法を考えています。全ての研究テーマは実用化を念頭に置いていますので、企業との共同研究を積極的に展開しています。また環境低負荷は世界的な課題でもありますので、畜産由来の環境負荷物質の排出を減少させる目的で、海外の大学とも共同研究を行っています。未利用資源の飼料化や食資源循環に関する研究を通じて、飼料加工、家畜飼育、栄養素分析等に関する実践的な技術が身につき、また環境に対する意識も向上します。卒業後は牧場、食品・飼料会社等で活躍できる人材になります。神勝紀教授香川大学農学部助手を経て1992年2月より信州大学農学部。環境低負荷畜産を達成するために、未利用資源の飼料化や食資源循環に関する研究を分野横断的に行っている。資源の有効利用で食料生産と環境低負荷を達成する~フードリソースリサイクリング~リンゴジュース粕を培地原料として育ったキノコ(特許取得)とその廃培地から作成した牛用発酵飼料インドネシア・ジャンビ大学との共同研究(養鶏場からの窒素排出低減に関する研究)動物栄養飼料学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像動物資源生命科学コース超高齢社会を迎え、健康維持・増進、疾病予防・早期回復など、私たちが日々摂取する食品の果たす役割は、極めて大きなものとなっています。当研究室は、荻田佑助教、重盛駿助教、佐藤隆特任教授(医師)との共同運営体制により、乳酸菌や腸内細菌がもたらす生体調節作用について追求しています。とくに乳酸菌の菌体成分が有する健康機能の他、革新的な機能を備えた乳酸菌の創発研究に取り組んでいます。将来的には、新たな機能性食品や家畜飼料素材の創製を実現させたいと考えています。酪農科学・乳酸菌科学を軸に、乳酸菌やビフィズス菌といったプロバイオティクスの他、未知の腸内細菌を研究対象としています。また、長野県の主導する「発酵長寿プロジェクト」に参画し、信州各地の老舗醸造蔵に宿る蔵付乳酸菌ライブラリーの構築を進めています。長寿エリア信州の魅力を次世代に繋ぐべく、乳酸菌科学の視点から発信していきます。研究室では「自主性の強化」に重点を置いています。研究課題の解決に向けて、方策を徹底的に考え、研究計画の企画・立案、実験による検証と成果発表に至る一連のプロセスを重視し、指導しています。大学院(修士課程・博士課程)への進学の他、就職先としては、食品系(主に乳業関係)・製薬系メーカーに卒業生を多く輩出しています。下里剛士教授米国食品医薬局研究員、米国国立ガン研究所研究員、信州大学テニュアトラック助教・准教授を経て、2019年より現職。専門は、動物生命科学・畜産物利用学・乳酸菌科学。機能強化乳酸菌の創製研究ー乳酸菌ワクチンの開発ー組換え乳酸菌の開発ワクチン効果の検証疾病モデルマウス投与乳酸菌は、発酵乳製品の製造に利用されてきました。しかし近年では、有用物質の生産体や運搬体としての役割、すなわち「乳酸菌ワクチン」の開発が期待されています。私たちは、人類の健康維持・増進という観点から、様々な乳酸菌組換え体を作出し、乳酸菌ワクチンの開発基盤の構築を進めています。分子生命工学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像動物資源生命科学コースー腸管に棲みつく乳酸菌を強化するー乳酸菌野生株腸管付着性を強化した乳酸菌乳酸菌や発酵乳の健康効果は、人類の⾧い歴史に裏付けられています。しかし、乳酸菌の効果には個人差が大きいことや、その持続性において課題が指摘されています。私たちは、腸管に棲みつく乳酸菌をモデルに、プロバイオティック機能を強化する取り組みを進めています。Lactococcus lactisLactobacillus rhamnosusGG強化

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