大学概要2020
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従来の逆浸透(RO)膜を用いた海水淡水化はすでに世界で実用化されていますが、水の用途の7割を占める農業用水への利用促進や開発途上国への普及のためにはさらなる低コスト化が必要です。ナノカーボンを使った信大COI開発膜は耐久性に優れ、従来より約30%のコスト削減が期待できます。2019年度から、信大COI開発膜を用いたROエレメントの実海水実証試験を北九州市で開始し、耐ファウリング(汚濁)性などの開発膜の優位性や造水コストの低減効果を評価しています。将来ビジョン実現のためのキーテクノロジー【提案機関】信州大学 日立製作所 東レ 昭和電工 物質・材料研究機構長野県【COI-S(サテライト拠点)】海洋研究開発機構(JAMSTEC)【COI-S参画機関】 中央大学【参画機関】(2020年5月現在〈順不同〉)理化学研究所 高度情報科学技術研究機構 北川工業 トクラス栗田工業 LIXIL信州大学COIは文部科学省および科学技術振興機構が推進する「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」のCOIプログラムの拠点のひとつ。ナノカーボンの研究で知られる信州大学の遠藤守信特別特任教授が研究リーダーとなり、「世界中の誰もが十分な水を手に入れられる社会」の実現を目指し、イノベーションを生み出す試みが着々と進められています。産学官のオールジャパン体制でプロジェクトを運営信州大学が持つ革新的なナノカーボン材料や物質分離技術の研究成果と、長野県などの企業が持つものづくり技術を活かし、産学官連携で取り組むのが、最長9年間にわたる国家プロジェクト「世界の豊かな生活環境と地球規模の持続可能性に貢献するアクア・イノベーション拠点(COI)」です。特色6:信州大学国際科学イノベーションセンター(AICS)を中核とするアクア・イノベーション拠点(COI)世界中の誰もが十分な水を手に入れられる社会を実現へ水の妖精「アクアッピ」文部科学省の「地域資源等を活用した産学連携による国際科学イノベーション拠点整備事業」(H24)により、長野(工学)キャンパスに完成。イノベーションを生み出す拠点であると同時に、環境に配慮した研究棟でもあり、太陽光発電や燃料電池など最新の環境配慮設備を21項目導入しています。国際科学イノベーションセンター(AICS)地球の水のほとんどは海水や氷河など人類が使うことが困難で、川や湖などの利用しやすい淡水は全体のわずか0.01%に過ぎません。世界では今も11億人余りが安全な飲料水を得られず、世界人口の増加により水の確保はますます困難になると予想されています。信州大学COIは材料技術を駆使し、海水をはじめとする多様な水源から使える水を造り循環させる「革新的な造水・水循環システム」の構築により、「安全で健康的な生活を支える水循環社会の実現」に貢献します。信州大学COIはSDGsに貢献します17

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