繊維学部_研究紹介2020
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教員紹介渡辺研究室では、マイクロ化学チップを印刷で作製する技術の開発を行っています。マイクロ化学チップは、化学・生化学的な合成や分析を小さなチップ上で行う装置で、一般には半導体の微細加工技術に類似した方法で作製されます。しかしながら、このような方法では、多品種少量生産に向かないなどの問題もあります。渡辺研究室では、マイクロ化学チップのエンドユーザーが自らチップの設計をし、自ら作製できるよう、インクジェットプリンターを利用してマクロ化学チップを作製する技術の開発を行っています。プリンターは文字や写真を印刷するのによく用いられますが、もっと色々なことに使えると考えています。渡辺研究室ではマイクロ化学チップをインクジェットプリンターで作製する技術の開発を行っています。まだ初歩的な段階なので、将来的にモノになるかどうか(実用化されるかどうか)現時点では分かりませんが・・・。卒業研究の内容が、卒業後の仕事に直接的に役立つとは考えておりません。世の中には面白い分野が沢山あるので、卒業研究の内容にこだわらず、自由に仕事を選んで欲しいです。渡辺真志教授学部の卒業研究および大学院修士課程では有機合成化学に関する研究を行いました。その後、紆余曲折を経て、現在は高分子化学および化学工学に関係する分野を専門としています。マイクロ化学チップで2種類の液体を混合しているところマイクロ化学チップで油-水界面を通して抽出を行っているところ研究から広がる未来卒業後の未来像有機溶媒水水化学・材料学科印刷によるマイクロ化学チップの作製教員紹介荒木研究室では大きく2つのテーマで研究を進めています。1つ目は「ポリロタキサン」と呼ばれるネックレス状の超分子を作り、様々な化学修飾を施して、ゲル・繊維・フィルムなどの機能性材料を作ろうとしています。2つ目は、木材や植物から取れる「セルロース」やカニ・エビの殻に含まれる「キチン」の微結晶粒子を使った実験です。これらの微結晶は天然由来でナノサイズ、さらに1本の弾性率や強度は鋼鉄よりも強く、さらに生分解性がある魅力的な材料で、フィルムや繊維の補強材料として応用を進めています。ポリロタキサンと、セルロース・キチンの微結晶。どちらも形や性質が興味深く、大学の学術的な研究対象としても興味深いのですが、将来様々なところで役に立つ可能性も秘めています。ポリロタキサンを混ぜた塗装は、傷がつきにくい携帯電話の塗装として既に実用化されています。また、セルロース微結晶を補強材料として使うための特許出願に向けた研究も進められています。当研究室で自分の興味深いテーマを追求しながら発見した新しい材料が、社会で広く使われるようになることでしょう。設立したばかりの研究室でまだ卒業生が少ないですが、化学メーカー・材料メーカーを中心に先輩方が就職しています。在学中の研究のみにとらわれるのではなく、理系の研究職として社会に出たときに、何を求められるかを身につけて修了してもらうよう指導しています。荒木潤准教授科学技術振興特任研究員、JST-CREST研究員、アドバンスト・ソフトマテリアルズ社技術顧問、2007年信州大学国際若手研究者育成拠点助教を経て、2012年より現職。専門は超分子科学・多糖類科学。ポリロタキサンは幅1ナノメートルの“ナノサイズネックレス分子”フィルムに成型することもでき、携帯電話の外装にも使われた左は植物中のセルロースウィスカー。ナノサイズのファイバーは鋼鉄よりも強い弾性率を持つ。さらに偏光板の間で光る液晶にもなる研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科ネックレス状の「超分子」とナノウィスカー(ナノ繊維)補強材料37

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