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15オンラインが企業と大学を近づける2020年はコロナ禍でオンラインの取り組みが急速に広まっていった年だといえる。朝日新聞社でも出社率は大幅に下がり、Teamsを使った会議が日常の風景となった。紙面制作や広告営業など対面がメインだったことも、みるみるうちにオンライン化されていき、社内は閑散としていった。地球会議や教育会議などの大型企画もオンライン開催となった。担当者によると、登壇者への依頼の容易さと参加者の多様性が印象的だったそうだ。多忙な著名人でも、自宅から、時差さえ気づかえば海外からでもボタン一つでつながれる。また、これまで参加者は首都圏在住の方が大多数を占めていたが、全国さらには海外からも参加者がいたという。新たな可能性を感じた。教育機関もオンライン授業にどんどん切り替わったのはいうまでもない。年に数回、私は大学で授業を担当するのだが、昨年はすべてZoom開催だった。チャット機能を通じて学生から鋭い質問が例年よりも多く届く。これも新鮮だった。また信大が昨年末に初めて発行した統合報告書で濱田学長と池上彰さんの対談を担当したのだが、打ち合わせから当日の対談までEメールとGoogle Meetで完結してしまった。そんな変化の年で感じたのが、オンラインによって企業と大学はもっと近づいたということだった。オンラインでの出張授業や対話ならば、企業側も今まで以上に時間の融通が利く。大学側も地域の枠組みを超えて、地方から都心、さらには海外へと広げて依頼ができる。双方にとってメリットが大きい。注目すべき取り組みとして一般社団法人「プロフェッショナルをすべての学校に」を紹介したい。静岡大学発のベンチャーで、その名の通り、企業や団体のプロフェッショナルと学校教育をつなげることが目的だという。信大のSUIRLOに所属する小林渓太助教も参加している。沖縄の宮古島、鹿児島の徳之島などの離島と都内にあるソニーの本社をつないで、同社が開発したプログラミングキットで「学校生活をもっと便利にするアイディア」を考えて発表してもらうという授業が紹介されていた。人感センサーや温度・湿度を感じるブロックを活用して自分たちで考えたアイディアを、リアルタイムで開発者がコメントしてくれる。企業人がただ学校を訪れ、体験を話す従来の出張授業でなく、自分が問題を発見し、課題解決をしていく。そのような授業を、オンラインでも十二分にできる可能性を感じた。このような動きは企業側からの一方的なものではなく、大学側からも今まで以上に積極的に企業にアプローチできるチャンスだと考える。産学の距離はコロナで縮まり、そして強くなるのかもしれない。統合報告書2020制作チームのキックオフミーティングにもオンラインで参加いただいた。信州大学は学外の広報有識者に広報アドバイザーとして、広報活動への助言・指導など、多彩な協力をいただいています。 ⑪2002年朝日新聞社入社。広告局の外部営業、報道局記者、コンテンツプロデュース部などを経て、2015年中東に留学、2016年メディアビジネス局、2018年よりソリューション・デザイン部。信州大学広報スタッフ会議広報アドバイザー朝日新聞社ソリューション・デザイン部氏川﨑 紀夫

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