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172020年8月18日、増木静江教授(バイオメディカル研究所)らの研究グループは、「インターバル速歩」とIoTを組み合わせた「遠隔型個別運動処方システム」を開発し、過去15年にわたり8,700名の中高年者を対象にその運動処方の効果を検証してきました。この一連の研究成果について、この度、米国生理学会から依頼され、Comprehensive Physiology誌に発表しました。この学術誌は、かつて“Handbook of Physiology”と呼ばれ、世界中の医師、研究者、大学院生など、これからこの分野の研究を始めようとする人たちのための教科書です。インターバル速歩とは、個人の最高酸素摂取量の70%以上の速歩と40%の緩歩を3分間ずつ交互に繰り返し、1日30分、週4日、5ヶ月間実践するトレーニング方法です。その結果、5か月間の介入で体力が平均10%向上し、それに比例して生活習慣病の症状が20%改善され、「IoTを用いて体力向上のためのトレーニングをジムから開放した」と国際的にも注目されています。さらに、このシステムによって、運動継続と効果の個体差に関与する遺伝子多型を、同研究所の樋口京一教授や遺伝医学教室の古庄知己教授らの研究グループに協力いただき発見しました。また、我々の事業は、栄養補助食品の効果検証フィールドとしても活用され、現在、農学部の藤田智之教授らの研究グループとの共同研究も進行中です。さらに、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の援助で同システムの汎用性を高めるスマホアプリの開発にも成功しました。このアプリを活用し、これからも引き続き、信州大学発のインターバル速歩とその研究成果を世界に発信して参ります。2020年8月4日、先鋭材料研究所の田中秀樹教授(特定雇用)を含む研究グループ(京都大学や高輝度光科学研究センターなど)は、従来の吸着剤とは異なる新材料(ゲート型吸着剤)を活用した二酸化炭素の高効率分離システムを提案し、その研究成果がNature Communica-tions誌に掲載されました。二酸化炭素(CO₂)は地球温暖化をもたらす温室効果ガスであり、パリ協定(2015年)では、大気中へのCO₂排出量を削減することによって、平均気温の上昇を2℃以下とする目標が定められています。この目標を達成するためには、エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの利用に加え、CO₂排出源においてCO₂を高効率・低コストで分離回収することが必要不可欠となります。そこで、本研究グループは、自身が吸熱的に構造変形することでCO₂を取り込む際の熱発生を抑えることが可能なゲート型吸着剤に着目し、その優れたCO₂分離性能を明らかとしました。同時に、このゲート型吸着剤の特性を活かした高速度吸着分離システムを考案し、そのCO₂分離効率が従来方式と比較して極めて高くなることを見出しました。本研究は、ゲート型吸着剤がCO₂の吸着分離回収システムの高効率化・省エネルギー化に有用であることを初めて明らかとしたものであり、さらに高性能なゲート型吸着剤の探索・開発のための大きな追い風となることが期待されます。ゲート型吸着剤が切り拓く吸着分離の新時代信州大学発「インターバル速歩」が米国生理学会の教科書Comprehensive Physiologyに掲載「国立大学法人等の役員の報酬等及び職員の給与の水準の公表方法等について(ガイドライン)」(平成17年2月7日策定)に基づき、令和元年度の信州大学役職員の給与水準が公表されました。最広義人件費は前年度に比べて1.3%の増となっています。詳細については本学公式ホームページをご覧ください。https://www.shinshu-u.ac.jp/guidance/disclosure/corporation/reward/役員の報酬等及び職員の給与水準の公表について

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