信大医学部医学科研究紹介2020(日本語版)
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31最先端医療を駆使して低侵襲で神経機能を温存した脳神経疾患の治療を行う研究・診療内容の概要信州大学医学部脳神経外科学教室では、「最先端医療を駆使して低侵襲手術・機能温存治療を行う」を一貫とした治療方針として、脳血管障害・脳腫瘍・脊髄疾患などに対しての外科治療を行っています。また、各関連病院と連携して高レベルの脳神経外科診療を行うことで、より多くの優秀な脳神経外科医を育成することも目標としています。各脳神経外科疾患ごとに、以下のテーマの研究を行っています。1.低侵襲手術アプローチ研究:頭蓋底深部の病変に対する治療のより安全なルート、手術方法の開発2.手術機器研究・開発:手術をより安全確実に行う手術器具の開発3.手術シミュレーション研究:静止および動画の三次元画像を、手術シミュレーションに応用できるよう開発4.微小脳神経外科解剖研究:より精密な脳神経外科手術が行えるよう、脳の局所の解剖の把握と研究 5.術中神経機能モニタリング・マッピング研究:機能温存のため、術中に電気生理学的手法を用いて神経機能の同定、評価の研究6.ロボット支援手術装置および手技の研究・開発:世界にさきがけ、脳神経外科手術における低侵襲を目指した手術支援及びロボットの開発、臨床応用研究7.悪性脳腫瘍の遺伝子解析・研究:遺伝子解析を行い、最適な化学療法を探り悪性脳腫瘍の成績向上に関する研究【疾患班名】 1.脳血管障害治療 班 2.脳腫瘍(髄外 / 髄内) 班 3.機能的脳神経外科 班 4.低侵襲脊椎脊髄 班 5.神経内視鏡治療 班 6.脳血管内治療 班脳神経外科学骨の病気の本態を解き明かす!~“遺伝子”という観点から~関節リウマチ・骨粗鬆症班関節リウマチ・骨粗鬆症班(チーフ:講師 中村幸男)(チーフ:講師 中村幸男)整形外科先天性の骨系統疾患、関節リウマチや骨粗鬆症のために骨破壊や疼痛に悩む患者さんはたくさんおりますが、その多くは原因不明で、有効な診断法や治療法が確立されていない疾患がほとんどです。私共は病気の原因遺伝子を同定して機能を明らかにすることで、確定診断や新しい治療法の開発を目指しています。また骨代謝の観点から、米国ハーバード大学をはじめ国内外の多くの施設と共同研究を進めており、様々な疾患アプローチを行っています。・先天性骨系統疾患の原因遺伝子同定と機能解析・健康寿命延伸を目指した地域での取り組み  ~骨粗鬆症・ロコモティブシンドローム予防・対策~     ・骨粗鬆症、関節リウマチの病態メカニズム解明と新規薬剤の効果検証・WNTシグナル、スクレロスチンを基盤とした疾患の分子メカニズム解明病気の原因遺伝子とその機能解明により、血液や尿による簡便な診断や、新しい治療が可能になります。手術を含めた治療の選択肢が大きく広がり、様々な症状に悩む患者さんに福音をもたらします。骨代謝から考える健康寿命延伸を信州から全国に向けて発信します。最先端の基礎研究・臨床研究を多数手がけることによって、様々な専門的手技や知識とともに、物事を論理的に考えてプレゼンテーションする能力が身につきます。医学や患者さんに関わる、その後のいかなる進路にも役立つ能力を得ることができ、さらなる飛躍が期待できます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像ゼブラフィッシュは骨格を有し、骨の遺伝子研究に最適ゼブラフィッシュ卵(直径0.5-1mm程度)への注射(遺伝子導入)

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