信大医学部医学科研究紹介2020(日本語版)
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27ひとりひとりの患者さんに最先端で最適な医療の提供をめざして心臓血管外科学分野心臓血管外科学分野(チーフ:教授 瀬戸達一郎)(チーフ:教授 瀬戸達一郎)外科学当科では、心臓疾患から大動脈疾患、静脈やリンパ管をも含めた末梢血管疾患に至るまで、体内の循環臓器全般を対象とした外科治療を行っています。特に重篤な全身合併症をお持ちの患者さん、超高齢者の患者さん、複合病変をお持ちの患者さんなどに対する集学的治療においては、大学病院という利点を活かし循環器内科をはじめとした各診療科との連携のもと、患者さんの長期予後まで配慮したより安全で確実な手術を目指して診療を行っています。・iPS細胞を用いた心筋再生・胸腹部大動脈手術における合併症の予防法の開発・組換えビフィズス菌を用いる疾患部選択的な新規虚血性疾患治療薬の開発研究・心臓移植後拒絶反応の病態解明と治療法の開発今日乗り越えられないため禁忌とされていたことが、ひとつのブレークスルー(壁を打ち破る事柄)により明日には適応となることがあります。臨床に役立つブレークスルー研究を行い世界に情報を発信することが我々の夢でもあります。当科では、優れた臨床医の育成を目標として、卒後臨床研修において、科全体で力を注いでいます。より多くの手術ができる専門医となり、世界に情報を発信できる医師を育てます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像心臓手術の様子患者さんの長期予後まで配慮したより安全で確実な手術を目指すiPS細胞を用いた心筋再生Shiba, et al. Nature 2016;  538: 388-391.より引用改変血管新生因子を発現・分泌する組換えビフィズス菌製剤を用いた新薬を創出・開発している“日本一の呼吸器外科を目指して!呼吸器外科学分野呼吸器外科学分野(教授 清水公裕)(教授 清水公裕)外科学外科学教室 呼吸器外科学分野は令和元年(2019年)8月の初代 清水公裕教授の着任により、新たに独立した診療科として誕生しました。主な対象疾患は、肺癌、胸腺上皮性腫瘍(胸腺腫、胸腺癌)などの悪性疾患から、自然気胸、炎症性肺疾患、などの良性疾患、さらに胸部外傷など幅広い疾患に対する外科治療を担当しています。患者さんの身体の負担の少ない内視鏡手術(胸腔鏡手術)“痛くない手術”と、小型早期肺癌などに対し3D-CTを駆使して正常肺の温存を図る区域切除“苦しくない手術”を積極的に行っています。・肺の3D-CT画像を用いた肺の区域解剖の研究とそのデータをもとにした新規区域切除術の開発(図)・肺の再生の証明と、区域切除と再生医療を組み合わせた新たな治療法の確立・肺癌に対する臨床病理学的及び分子生物学的手法を用いた腫瘍外科学的研究現在、がんの部位別死亡率第一位である肺癌が我々の主な研究対象です。我々が行う全ての研究が、日々の臨床における、個々の患者さんへの利益につながり、さらに将来的な呼吸器外科学の進歩につながることを目指します。基礎研究から臨床研究まで、日常臨床における幅広い疑問や興味に対して、その知識と理解を深め、その成果を日本そして世界に向けて発信する「academic surgeon」になりましょう。日々の臨床を通して、優れた臨床力、確かな技術を持った呼吸器外科医を目指し、ともに日本一の呼吸器外科教室を作っていきましょう。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像3D-CT画像

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