環境報告書2020
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信州大学の「環境マインド」教育は、単に理念や理論の教育だけではなく、教職員と学生が協力してエコキャンパスを構築し、その継続的改善という実践行動を通じて、環境問題に対する解決能力の育成を目指しています。本科学群は、私たちが暮らす信州の自然・文化的環境への興味や関心を深め、現代社会が直面している環境問題を科学的に理解し、また問題解決に向けて積極的な行動に結びつくことを目的にしています。地球そのものや地球環境をめぐる問題を扱いますが、大気汚染や水質汚濁、野生生物保全、自然再生、資源枯渇、気候変動、原子力発電、廃棄物・サイクル、地震予知などの個別の問題についても学びます。いずれの授業科目も基本的な人間と環境のあり方について考えます。 人間および環境の問題を、文化や芸術、倫理、ビジネス、心理、社会、国際協力などの多角的な視点からアプローチし、皆さんの視野を広げ、問題発見・解決能力を養います。環境問題を歴史という時間の流れの中で考え、地球環境と地域環境を相互に関連づけて捉えます。環境への負荷の少ない持続可能な発展を維持し、循環型経済社会システムを構築するため、顕在化している種々の環境問題を早急に解決していかなければなりません。地球環境への負荷を減らす視点やライフサイクルの視点から、環境と科学技術の新たな関わり方を考えます。・環境社会学入門・熱帯雨林と社会・Low Energy Building(省エネルギー住宅)・ライフサイクルアセスメント入門・環境と生活とのかかわり・環境科学入門・グリーンテクノロジー・環境配慮素材と自然エネルギー・エコ水車の開発と地域バイオマス利用・地球環境の歴史・循環型社会入門・環境とエネルギー・環境エネルギー政策論・環境保全論入門・環境マインド実践基礎論・環境とリスク・ネイチャーライティングのすすめ (環境文学Ⅰ)・環境文学のすすめ(環境文学Ⅱ)・自然環境と文化・環境法入門・生物と環境・自然災害と環境・ナノテクと環境・材料の科学と技術(基礎編)・材料の科学と技術(先端編)・人とすまい・水の環境科学・森林サイエンス・農山村と環境・環境と緑の文化・農環境保全学・森林・環境共生学概論・環境と生命の基礎化学「熱帯雨林と社会」【ねらい】日本人は、今や自分の身体を支える物質的条件を国際的な関係に依存しています。しかし、私たちの関心や理解はモノの移動の大きさに比べて、十分な広がりをもちえているでしょうか。"Think Globally, Act Locally"という標語がありますが、グローバルにいったい何を考え、ローカルにいったい何をしたらいいのでしょうか。本講では、現地からのフィールド報告を交え、そうした問いについて具体的に考えることをねらいとします。【概要】熱帯産のさまざまなモノを切り口として、熱帯雨林の自然と人間の暮らしについて理解を深めます。主な事例を東マレーシア、サラワク州(ボルネオ島)のバラム河流域からとり上げます。授業計画の前半では、サゴヤシ、陸稲、沈香などの生態資源を例に、熱帯雨林に暮らす狩猟採集民の生活や生業の様式を概観し、彼らの食糧の確保、資源やエネルギーの利用にみられる諸特徴を理解します。後半は、木材、パーム油、バナナ、エビ、コーヒーなどの一次産品を例に、社会経済的なグローバル化をめぐる問題群について考えます。この講義を通じて、東南アジアの熱帯雨林と私たちとの関係や両者が抱える現代的課題を追究しながら、他人や地球をできるだけ傷つけない社会への手がかりや可能性を探っていきます。「環境文学のすすめ(環境文学Ⅱ)」【ねらい】本講義は、本学の教育目標の一つ「環境マインドをもつ人材の育成」を目指すものである。「環境」という対象を文化の側面からとらえることにより、自然科学的な視点だけではなく、自分の「こころの問題」として自然や環境をとらえる豊かな感性としての「環境マインド」を受講学生が持つことが本講義のねらいである。【概要】自然や環境について語る際、自然科学的なデータや社会現象については情報があふれかえっているが、「こころの問題」として、つまり自分との関係で語ることはあまり多くないように思う。本講義ではこの観点から自然や環境にアプローチしていく。「環境保全論入門」【ねらい】本講義は、生物学・生物多様性科学・生態学を中心軸として、環境問題の科学的な認識に基づく解決方法を考える上で重要となる基礎的な知識や概念の習得を目的とする。また、得た知識をもとに、日常生活の中で見聞きする環境問題に関するニュースに対して、自分なりの視点や問題意識を持てるようになることを目指す。【概要】環境保全を進める際、自然環境は一度破壊してしまうと元の状態に戻すことは極めて難しいことから、短期的な視点ではなく、科学的な認識に基づく長期的な視点で物事を考える必要がある。本講義の前半では、保全の対象となる環境や生物について、基礎的な知識を幅広く学ぶ。後半では、現在直面している環境問題について、種々の問題の発生要因について学習し、現在行われている保全に向けた取り組みについて理解を深める。環境科学群授業科目授業のねらい・概要信州大学の全ての学生は、共通教育科目の教養科目「環境科学群」から、必ず1科目(2単位)以上を履修します。環境科学群は、次の内容から構成されています。02環境への取り組み環境マインドの醸成2-1 環境教育25

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