環境報告書2020
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02環境への取り組み卒業論文工学部 機械システム工学科 馬野 雄矢 塩化物イオン含有ボイラ水中に おけるSTBA12低合金鋼溶接部材の腐食に及ぼすギ酸の影響火力発電プラントでは、復水器における海水漏洩やボイラ給水・補給水の水処理不良等による塩化物イオン(Cl-)等の不純物がボイラ水に混入し、機器材料の腐食トラブル発生が散見される。また近年では、ボイラ配管などの流れ加速型腐食を抑制するため、ボイラ水にpH調整剤として有機アミンを添加する傾向が見られる。一方、有機アミンは高温で熱分解によりギ酸(HCOOH)等有機酸を生成し、ボイラ配管とりわけ溶接部の腐食を促進することが懸念されている。本研究ではボイラ配管用STBA12低合金鋼溶接部材について、Cl-を含む模擬ボイラ水中における腐食挙動に対するHCOOHの影響を調査した。電気化学的腐食試験では、各種試験水中におけるSTBA12溶接部材が母材と同等以上の耐食性を示した。一方、図1に示すように、Cl-のみを添加したボイラ水中よりもCl-とHCOOHの両方を添加したボイラ水中における供試材の腐食が激しく進行した。また、100h浸漬腐食試験の結果、Cl-含有ボイラ水中におけるHCOOHの添加は供試材の腐食速度を向上させる効果を持つことが示唆された。卒業論文卒業論文2-1 環境教育図1 模擬ボイラ水中におけるSTBA12低合金鋼の腐食外観(a) 100 ppm Cl-(b) 100 ppm Cl- + 50 ppm HCOOH(a) (b) 23

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