信州大学統合報告書2020
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学長挨拶独自に築く国立大学の経営スタイル、「信州モデル」を目指して国立大学法人信州大学長 国立大学法人信州大学では、特色ある教育・研究、次代を担う創造性豊かな人材の育成、地域・社会への寄与を持続的・戦略的に進めています。様々な事業活動を実施するためには、信州大学独自のビジョンと財務的な裏付けが必要です。国立大学法人の経営は、政府からの運営費交付金やプロジェクト経費、学生からの入学金や授業料、企業・自治体等からの共同研究費や委託事業費、医学部附属病院を受診される方からの診療報酬、様々な団体・個人からの寄附金等、様々な収入により支えられています。また、信州大学では、インキュベーション施設を松本キャンパスに1つ、長野(工学)キャンパスに3つ、上田キャンパスに4つ設置しており、それらに入居いただいている企業・団体等からの賃借料や長野(教育)キャンパスに誘致したコンビニエンスストアからの賃借料も、大学独自の収入となっています。さらに、学術系クラウドファンディングを活用した研究資金の調達にも挑戦しており、諏訪湖の水質予報を実現するための研究等、信州に根ざしたテーマでもご支援をお願いしているところです。今後、国立大学法人に認められている多様な方策を駆使するだけでなく、「信州」を意識した収入確保を行っていきたいと考えております。 さて、様々なステークホルダーの皆様から得られた収入が、中期目標・中期計画に基づいた教育・研究・診療等の活動にどのように支出され、それによってどのように地域・社会に寄与できたかを発信するために、統合報告書を作成しました。2019年の創立70周年を機に作成した「VISION2030」に掲げた教育、研究、社会連携、グローバル、大学運営、医療の6項目との関連も本報告書によって明確にできればと思っております。また、2030年に向けて国際社会全体が取り組んでいる持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)と関連付けるため、それぞれの事業活動をSDGsの各目標と紐付けました。 ところで、本報告書に掲載している池上彰氏との対談の中で、大学の「場」としての重要性についてお話ししました。新型コロナウイルス感染症の影響で、リモートによる授業となりキャンパス外でも受講できるようになりましたが、そのことが逆に「場」の重要性を再認識させてくれたと思います。信州大学は、キャンパス分散型大学である故に信州全域が「場」と考えられます。信州全域を「場」と考え、その「場」を様々なステークホルダーの皆様と多様な目的に活用できれば、新たな大学の姿を描くことが可能となります。これこそが、「信州モデル」の経営スタイルになると信じています。 ステークホルダーの皆様には、国立大学法人信州大学のビジョン並びに財務と成果の内容を十分にご理解いただいた上で、引き続きご支援・ご協力賜りますようお願い申し上げます。Integrated Report 2020 Shinshu University022020年12月

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