信州大学統合報告書2020
26/68

Shinshu UniversityIntegrated Report 2020PRODUCTS信州大学が世界を先導する「フラックス法」は、結晶の形を自在に制御し、求める機能を引き出すことができる無機結晶育成技術です。フラックス法などにより育成した高機能な無機結晶材料を「信大クリスタル(※)」と名付け、3つの事業化プロジェクトで産業展開します。用途に応じた開発スキームを確立し、世界の成長市場への展開など、持続的にハイインパクトな商用化事例を創出するエコシステムを確立します。人体に有害な重金属を吸着除去する結晶を浄水器などに搭載、飲料水・生活用水などから重金属を除去する「重金属吸着剤を用いた浄水器の商用化」、長期使用可能な脊椎椎体スペーサーや人工関節ステム等、患者さんの負担が少なくなる医療機器を開発する「高機能・高耐久型人工関節・脊椎椎体スペーサーの開発」、15分相当の急速給電と8年16万キロ保証を両立する、700Wh/L級の高容量リチウムイオン二次電池を開発する「リチウムイオン二次電池材料の開発・商用化」の3事業が同時進行しています。信州大学が得意とするフラックス法による無機結晶育成技術を産業実装浄水装置、医工連携製品、二次電池の開発3つの事業化プロジェクトが同時進行で進む重金属吸着結晶は、材料メーカーと共に量産化可能なプロセスを確立、信大クリスタルを搭載した携帯型浄水ボトル「NaTiO(ナティオ)」をトクラス(株)と共同開発し、2018年12月に市場投入しました。また、水中に溶出した硝酸/亜硝酸態窒素・ヒ素・フッ素等をターゲットとしたアニオン吸着結晶の開発も進め、その試作品は、一部の地域でフッ素過多が問題となっているアフリカタンザニアにおいてフッ素含有量を水質基準値以下に低減できることを実証しました。新たに開発した表面活性修飾PEEKの生体内・生体外試験を2018年度に開始、生体安全性や骨に埋め込んだ際に必要な力学的特性の評価等を進めています。本研究で確立したカーボンファイバー複合生体材料の安全性評価技術は、企業での事業化が決定しました。製品の実用化に向けて研究開発を進めています。リチウムイオン二次電池の高出力・高耐久性正極材料、電極表面処理技術および絶縁性バインダーレス化技術などの研究開発を実施しています。複数のメーカーとサプライチェーンを網羅した協業体制を既に構築しており、大学保有の技術シーズを用途別のニーズに落とし込む研究開発を推進しています。戦略パートナーとの協働のもと、搭載機に要求される仕様にあわせて設計したセルの試作、実モードでの評価をおこない、対抗する材料技術との性能比較評価を進めています。リチウムイオン二次電池材料の開発・商用化高機能・高耐久型人工関節・脊椎椎体スペーサーの開発重金属吸着剤を用いた浄水器の商用化高機能無機結晶材料「信大クリスタル」が未来を変える革新的無機結晶材料技術の産業実装による信州型地域イノベーション・エコシステムIntegrated Report 2020 Shinshu University24ティーバッグ型浄水器(※)登録商標

元のページ  ../index.html#26

このブックを見る