保健学科_研究紹介2020
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―33―作業療法学専攻だれもが働きやすい職場づくりを目指して:作業療法士が行う復職支援プログラム うつ病やストレス関連障害によって休職している方がスムーズに復職し、その後再び休職することを防ぐための復職支援プログラム(リワークプログラム)が注目されていますが、松本のような地方都市で行われているプログラムはまだ少ない状況です。そこで、医師、精神保健福祉士、薬剤師、臨床心理士、作業療法士等多職種が連携し、また、医療機関と勤務先(事業所)が協働して実施する、地域密着型の「包括的リワークプログラム」の開発を目指しています。 うつ病やストレス関連障害によって休職している方が復職し、再発を予防しながら仕事を続けることが出来れば、その方の生活の質(QOL)の向上はもとより、一般企業に対するメンタルヘルスの啓発、医療費の軽減等につながります。また、こうした障害を持った方が働きやすい職場は他の多くの方にとって働きやすい職場となっていくでしょう。 作業療法士は、人の得意な事、苦手な事、行動の特徴や環境の評価を行うことが得意です。こうした視点を養うことは、分野問わず臨床場面で役に立ちます。 各分野で活躍されることを期待します。基礎作業療法学研究から広がる未来卒業後の未来像復職支援を行っている医師、精神保健福祉士、薬剤師、臨床心理士、作業療法士。チームで色々なことを検討する。リワークプログラム参加者の成果発表会。プログラム参加者は模擬的な職場環境で役割分担し、この発表会の企画・運営を行う。信州大学医療技術短期大学部卒業。同大学院博士後期課程修了(保健学博士)。2009年信州大学医学部保健学科助教。現在に至る。専門は精神障害領域の作業療法。田中 佐千恵 助教作業療法学専攻身体・認知機能を補う環境や機器を活用して高齢者や障害者の生活を安全・安心に 高齢になっても、障害があっても、身体機能や認知機能を補う環境や、生活の不便さを減らす支援機器があれば、日常生活のいろんな動作を安全・安心に行うことができます。でも、人がライフスタイルを変えるのは簡単ではありません。作業療法士は、対象者の身体や精神の状態を把握して、ライフスタイルに適合するよう、環境や支援機器を選び、実際の生活に定着するまで支援します。 私たちは、このような生活支援プログラムの開発や効果検証に取り組んでいます。また、支援機器や機器提供サービスが当事者にとって“よい”ものになるよう、使いやすさを評価する手法の開発や、新たな支援機器の活用法普及のための提案も行っています。 身体機能や認知機能を補う環境や支援機器を高齢者や障害者がもっと使えるようになれば、安全・安心な日常生活を送れる人たちが増えて、健康寿命延伸につながる可能性があります。 高齢者や障害者の当事者視点を反映した“よい”支援機器や機器提供サービスを創り出すことができれば、ビジネスに発展する可能性もあります。 超高齢化社会を迎え、このような研究ニーズはますます高まっています。 病院や介護保険関連施設や市町村で作業療法士として働き、対象者が安全・安心な生活を送れるように、お一人お一人の生活に必要な支援をしています。 また、行政機関や研究所で生活支援サービスの企画・運営や評価、企業で機器開発をする卒業生もいます。実践作業療法学研究から広がる未来卒業後の未来像研究成果を反映して作成した「認知機能を補う支援機器の利活用マニュアル」国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院卒業。日本大学大学院理工学研究科医療・福祉工学専攻修士課程修了。広島大学博士(医学)学位取得。2004年に信州大学に着任。上村 智子 教授運動麻痺の状態に合わせて支援機器を選び・調節して、一人で食事ができるように支援高齢者の自宅で転倒の危険性のある場所をチェックし、住まいの整備方法を助言するプログラムの開発

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