保健学科_研究紹介2020
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―13―看護学専攻小児・母性看護学領域子どもの成長・発達はおもしろい!個別性あふれる1人1人の変化を共に これまで先天性心疾患(心臓や大血管に生まれつきにある何らかの異常)を抱える子どもとその家族の看護を多く経験してきました。 先天性心疾患では、子どもは出生直後から生命の危機にさらされ、家族の心理的混乱も大きいことが特徴にあります。手術や慢性的な治療が必要な場合も多く、看護が担う役割は非常に重要です。こう述べると、いいイメージが湧かないかもしれませんが、子どもたちは日々その子なりに成長発達しながら、一生懸命に療養生活を送っています。 先天性心疾患の子どもと家族の苦痛が少しでも緩和されるためにはどうすればよいか、どんな支援があればよりよい生活を送ることができるかを研究しています。 先天性心疾患の患者様は100人に1人と言われており、比較的多い疾患です。自然に治癒するものから、複数回手術が必要なものまで重症度は多岐にわたります。子どもたちやご家族は各々の課題に直面し、つらいこともあると思います。そのつらいことを少しでも減らし、課題を乗り越えられるように支援ができることで、子どもたちの笑顔が増えればうれしく思います。 看護師として一度子どもたちと関わっていただければ、子どもの持っているパワーに驚きと感心が湧くと思います。子どもの成長・発達を子どもと家族と共に感じられ、支援していける小児看護いかがですか?小児看護学研究から広がる未来卒業後の未来像岡山大学医学部保健学科看護学専攻を卒業後、岡山大学で看護師として9年間勤務。その間に岡山大学大学院博士前期課程を修了。2020年4月より保健学科看護学専攻の助教に着任。 川田 悠介 助教「全国心臓病の子どもを守る会」が作成している書籍のご紹介です先天性心疾患で幼児期に手術を受けた男の子外来で会うたびに大きくなって中学生に看護学専攻小児・母性看護学領域母と子の健康に役立つ情報発信~安心して妊娠・出産・育児できるために~ 生命誕生の瞬間に立ち会うことの素晴らしさに惹かれて産科医となり、妊娠・出産・育児に関する課題解決を目的に教育・研究を行っています。○科学技術の進歩により様々な出生前診断が可能となりましたが、後悔の残る選択や不安の増大に繋がる懸念も指摘されており、[検査の限界、倫理的問題点、ダウン症の方々の生活の現状など]も含めた適切で十分な情報提供を行える医療体制の構築に取り組んでいます。○子宮内の胎児が元気かどうかを評価することは極めて重要です。従来よりも簡便かつ安全に検査できる機器の開発に取り組んでいます。○母児に重大な影響を及ぼす妊娠高血圧症候群は、ヒトにしか発症せず、 発症原因も不明であるため、本疾患の病態解明に取り組んでいます。 現代医療の診断法や治療方針は、過去の研究成果の蓄積によって確立されています。しかし、現在の診断法や治療方針が最善なのかは、常に検証することが必要です。また、未だに原因不明の疾患や有効な治療法がない病態も存在します。従って新たな研究成果が、より有用な診断法や治療法の開発に繋がり、人類の幸福に貢献できる可能性があるのです。同時に、研究成果の倫理的な評価も重要な時代になっています。 医療職は、人の役に立っているという実感を得やすく、やりがいや生き甲斐を見出しやすい恵まれた職業です。その分、責任も大きく、生涯の学習が必要ですが、明確な目的をもつ学びは楽しく、成果も明瞭です。日々の努力の継続が明るい未来に繋がります。母性看護学・助産学研究から広がる未来卒業後の未来像信州大学医学部医学科卒業。同大学医学部附属病院産科病棟医長、統括医長、講師を経て、2008年に医学部保健学科小児・母性看護学領域教授に着任。医学博士。附属病院遺伝子医療研究センター兼務。金井 誠 教授図2.胎児心拍数モニター図3. 胎盤における   酸化ストレス因子の発現図1.ダウン症ご本人(12歳以上)への全国調査

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