工学部研究紹介_2021_日本語版
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研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績研究キーワード排⽔・廃棄物処理・メタン発酵・脱窒素処理・バイオリアクター・適正技術•セルロース系バイオマスのメタン発酵•固形性高級脂肪酸を用いた生物学的脱窒素処理•生物膜法を利用した排水の好気性生物処理•溶存有機物の光学的特性と炭素濃度を利用した水質評価•セルロース系バイオマスのメタン発酵(科学研究費基盤C、共同研究)•嫌気・好気複合消化による汚泥処理(科学研究費基盤C、共同研究)•固形性高級脂肪酸を用いた土壌カラムによる脱窒素処理(JST 研究成果最適展開支援事業、共同研究)•山岳トイレにおけるし尿処理(共同研究)•嫌気性流動床による有機性排水のメタン発酵処理(科学研究費奨励A)•教育ツールとしての水環境健全性指標の開発(高大連携事業)最近の研究トピックス化石燃料以外の生物に由来する有機性資源であるバイオマスから得られるバイオマス・エネルギーはカーボン・ニュートラルという特性を有するため、地球温暖化対策として、その活用が望まれています。なかでも農作物非食用部である稲わらやコーンストーバー(トウモロコシ茎葉)といったセルロース系バイオマスは、サトウキビやコーンのような糖/デンプン系バイオマスと異なり、食糧との拮抗がなく、エネルギー源としての活用が期待されています。本研究室では反応槽内における微生物の棲み場や生息環境(pHや温度など)に着目したセルロース系バイオマスのメタン発酵効率化に関する研究がおこなわれています。写真左:メタン発酵槽内の微生物(顕微鏡写真)写真右:メタン発酵槽准教授松本明⼈研究から広がる未来卒業後の未来像松本研究室では、都市に住む人々の生活環境や健康をまもるため、微生物を利用した排水や廃棄物の処理技術の開発がおこなわれています。たとえばメタン生成菌と呼ばれる細菌の能力を利用し、生ごみや生活排水に含まれる汚れ成分(有機物)をメタンに変換し、環境浄化と同時にエネルギー資源を取り出す研究が進められています。このような細菌の持つ様々な能力を利用した維持管理が容易で使いやすい環境浄化の「適正技術」が、自然の浄化作用や古くから用いられてきた伝統的な排水・廃棄物処理技術を参考に探求されています。「適正技術」とは、それぞれの地域の要求に見合った中小規模の技術です。例えば装置の構造が簡単で維持管理し易く、しかも運転に必要なエネルギーが少ない排水処理システムは、開発途上国や過疎地域への適用が考えられます。近年は卒業後、国や地方自治体へ就職する学生が増えていますが、建設会社や環境装置メーカー、そしてエンジニアリング会社に就職する学生もおります。メーカーやエンジニアリング会社へ就職する学生の多くは大学院に進学します。三機工業株式会社を経て、1993年より信州大学。研究分野は衛生工学および水環境工学で、最近は水環境の評価を通じた環境教育ツールの検討もおこなっている。微⽣物を利⽤してまちをきれいにする環境浄化の『適正技術』を求めて【私の学問へのきっかけ】土木の道に踏み出したきっかけは身近なところに土木関係者が多かったためです。そして大学研究室で出会ったアジア各地から来る留学生の真摯な姿勢に刺激を受け、さらに、活気に満ちた建設現場(東北新幹線など)を学外実習等を通じ、体験できたことが土木に対する思いを高めてくれました。⽔環境・⼟⽊⼯学科汚染や処理状況の確認のため、様々な分析装置を利用する河川調査では水質以外に魚の棲み場や河川敷の活用も調査する80

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