工学部研究紹介_2021_日本語版
75/152

研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績研究キーワード•膜分離技術を利用した有価物質の分離・回収プロセスの研究•炭素化繊維材料を利用した水処理プロセスの構築に関する研究(膜蒸留、CDI他)•膜を通した物質の透過現象の理論的解明•特定物質を感知する膜センサーの研究•濃度差や圧力差を利用した膜発電システムの研究•廃熱を利用した物質分離技術の研究•高分子材料の機能化・複合化に関する研究•布繊維の高温処理で得られる炭化繊維膜の水処理プロセスへの応用に関する研究(科研費基盤研究C)•改質シリコーン膜を利用した低圧膜ろ過による廃液からの有機溶媒回収装置の開発(科研費基盤研究C)•膜分離技術によるリン回収技術の開発(農水省事業、民間企業との共同研究)•油分濃度膜センサーの開発(民間企業との共同研究)•微粒化イオン交換樹脂を利用した両性荷電膜の開発(民間企業との共同研究)•両性荷電膜・中性膜を通した物質透過(民間企業との共同研究)•多孔質膜を利用した廃液中の溶媒回収(JSTシーズ発掘試験研究)•高純度有機溶媒回収技術の開発(県財団、民間企業との共同研究)•セルロースナノウィスカー複合膜の開発(県財団)最近の研究トピックス天然繊維の絹や合成繊維のキュプラ等の布繊維を高温で炭化処理すると、布繊維がもともと有する高い多孔性を維持したまま、疎水性や電気伝導性の非常に高い炭化繊維材料が得られる。これらの材料を膜や電極として利用した低エネルギーでの海水や随伴水の淡水化プロセスの構築を目指し、炭化前の繊維材料の種類や布の編み方、炭化処理温度等の炭化条件が、得られる炭化繊維材料の疎水性の程度や導電性、形成される細孔のサイズや等の材料物性に与える影響を調査している。膜分離・⾼分⼦材料・炭素化繊維・⽔処理・有機溶媒、有価物質回収准教授清野⻯太郎研究から広がる未来卒業後の未来像清野研究室では、高分子材料の一つである高分子膜に関する研究を行っています。多様な高分子膜を作製し、それらを利用した様々な膜プロセスに取り組んでいます。例えば、有用な成分を含んだ混合液があったとすると、有用な成分だけを取り出すことができれば、その成分を再利用することができます。また、取りだした成分が、環境に悪影響を与える物質であれば、環境保全にもつながります。具体的には、有機溶媒を含む廃液からの有機溶媒のみの回収や排液中に含まれる有用成分の回収などの膜プロセスに関する研究を行っています。各種膜センサーの開発にも取り組んでいます。環境保全の重要性は言うまでもなく、資源の少ない日本においては、いかに資源を有効に活用するかが大きな課題です。膜分離プロセスは、これらの課題を解決できる手段の一つです。清野研究室で取り組んでいる様々な膜プロセスを複合的に組み合わせることにより、様々な物質を感知し、必要な物質を分離し、それを回収し、再利用システムの構築が可能となります。学部卒業生のうち、多くが修士課程に進学し、研究活動や勉学を継続しています。その後は、研究内容を生かして膜分離の事業を行う企業や高分子材料関係の企業に就職する学生が多数です。信州大学助手、助教授を経て、2007年より現職。専門は、高分子化学、高分子材料。特に、高分子膜の合成、高分子膜輸送現象の解析、高分子膜分離プロセス。【私の学問へのきっかけ】子供のころから、身のまわりにあるものや身のまわりで普通に起こる事象に不思議を感じたり興味を持ったりしていました。雪はなぜ白いのか、ガラスはなぜ透明なのか・・・。高校に入って様々な化学の実験を体験しました。中でも、単純な操作ながら、アルカリ金属を水に入れた際の激しい化学反応が最も印象に残っています。反応の一つが、最もありふれた物質の一つである水だったのもその一因でした。今も様々な現象に興味を持って研究を進めています。⽔環境・⼟⽊⼯学科必要なものだけをいかに分離するか“膜”の可能性を探る着色した廃液から着色成分除去を目的として行った膜分離実験の装置図と実験結果。膜ろ過により着色廃液からほぼ透明な液体を回収中空状高分子膜の断面写真。膜の厚さや大きさを変化させた中空糸膜が作製できる絹を炭化処理して得られる炭化繊維膜の表面構造非溶媒相分離法による中空糸膜の作製プロセス色素複合化分離膜の作製73

元のページ  ../index.html#75

このブックを見る