工学部研究紹介_2021_日本語版
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研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績研究キーワード進化計算・遺伝的アルゴリズム(GA)・多⽬的最適化・制約付き最適化•進化計算の性能向上•進化計算の実問題への応用•動的制約条件下での最適化•制約充足解(実行可能解)の探索・活用•2014~2015年度科学研究費助成事業特別研究員奨励費研究課題:有用な実行不可能解を活用する複数制約付き進化型多目的最適化•2016~2018年度科学研究費助成事業特別研究員奨励費研究課題:工学設計に向けた進化計算による制約付き多目的最適化•2019~2020年度科学研究費助成事業若手研究研究課題:解の制約許容量を活用する進化計算による制約付き多目的最適化•2019~2021年度科学研究費助成事業基盤研究(C)(一般)(研究協力者)研究課題:スマート社会における実時間多数目的最適化のための分散進化計算の研究最近の研究トピックス進化計算では、1~3目的、さらに近年ではそれ以上の目的数を同時に最適化する多目的進化計算の研究が盛んにおこなわれています。進化計算では、一度の解探索でパレートフロントを近似する解集合を獲得することが可能であり、解の獲得だけでなく、目的間のトレードオフ関係を理解することにも役立ちます。さらには目的関数と設計変数との関連性を見出す研究もおこなわれており、産業界にとっても有意義な知見が得られるのではないでしょうか。私自身の研究では、特に、制約を違反した解の活用に注目して研究を行っています。制約を満たさないものは、最終的な出力において解として認められません。そのため、従来は解探索中に生成された制約違反解は単純に排除されてきました。しかし、一般的に制約を違反する解ほど目的関数値が良くなる傾向があり、これが制約を満たす解の進化の手がかりとして活用できるのです。生成した解を無駄なく活用することで、最適化時間の短縮、さらにはこれまで見つけることができなかった良い解の獲得にもつながります。また、最近では、制約違反解を用いることによる進化計算の効率的な並列化の研究も行っています。制約違反解を用いた解探索HV世代数GCNSGA-IITNSDM0501001502000.40.60.8ロケット設計最適化における性能比較良い解探索性能(HV)従来法(左図a)提案法(左図b)研究テーマ:多目的最適化のための進化計算法車の設計最適化(走行速度最大化)を例にとってみます。進化計算では、いくつか適当に作った車を走らせて、2つの速い車の設計情報(部品の材料、形、大きさなど)を生物の遺伝子に見立てて、組み合わせたり、一部を変異させて(交叉・突然変異)新しい車を生成します。これを集団に加えて、新しい車の生成を繰り返していくと、どんどん車が進化して速い車ができるんですよ、面白いですね。設計だけでなく、スケジュールやコーヒーのブレンドなど様々な最適化問題にも応用可能です。まだまだ沢山研究すべき課題があります。ぜひ一緒に研究しましょう。進化計算は、三菱リージョナルジェットやN700系新幹線の設計などですでに応用されています。今後、さらなる精度向上や、適用可能な問題の拡大によって、世の中の様々な問題を、人が考えずとも自動で最適化してくれるようになります。要するに楽がしたいです。研究活動を通じて、現状存在する問題の同定、解決法の模索・提案・検証をし、それを論理的に説明する経験をします。どの職業でも必要な能力なので、どんな職についても良いのではないでしょうか。この研究では、プログラミングが必要なのでその能力は付くと思います。電気通信大学大学院博士後期課程修了後、日本学術振興会特別研究員PDを経て、2019年より現職。研究分野は、進化計算を用いた制約付き多目的最適化。⾃然界の⽣物進化の仕組みを利⽤してコンピュータ上で情報を進化させる︖︕電⼦情報システム⼯学科【私の学問へのきっかけ】アルゴリズム系の授業が得意だったのと、もともと生物の分野にも興味があったので、「コンピュータ+生物」である進化計算は面白そうだと思いました。4年生になるまで研究のことは1ミリも理解していなかったのですが、指導教員が楽しさを教えてくれて、とてもよく指導してくださったおかげで、ここまで続けてきました。まったくの予想外です。ですが、学問の礎を築くことに参加できる事はやりがいを感じます。また、自分の意図した通りに提案法が結果を出してくれる時が面白いです。(上)生物の遺伝と進化(下)進化計算による車の設計最適化のイメージ図:環境に適した個体ほど次世代へ子を残し、その繰り返しにより個体集団が進化していく研究課題の例進化計算(GA,ES,PSO,DE)など多数⽬的最適化問題解析動的環境制約付き最適化実応⽤など多数ビジュアリゼーション助教宮川みなみ研究から広がる未来卒業後の未来像62

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