工学部研究紹介_2021_日本語版
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研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績研究キーワード酵素・セルロース・ヘミセルロース・バイオマス・バイオリアクター•バクテリアセルロースの形状をコントロールした生産酢酸菌の培養法を工夫することで、チューブ状やシート状、粒状のセルロースナノファイバーからなる材料素材を提供できます。(研究トピックス1を参照ください)•植物細胞壁分解酵素の生産白色腐朽菌Irpeslacteusや、海洋性子嚢菌Pestalotiopsissp.AN-7株など、植物細胞壁成分の効率的分解が可能な酵素を生産する菌を保有しています。遺伝子組換え技術による生産も可能です。•バイオリアクターを用いた有用生物の抽出酵素反応と膜分離とを組み合わせたバイオリアクターによって、未利用農産資源などから、有用成分の抽出・分離が可能です。最近の研究トピックス内径:6,8,12mm,長さ:Max1m(Φ12mm),5m(Φ6mm)1.微生物が生産する天然のセルロースナノファイバーを利用した材料開発セルロースチューブ・・・人工血管材料など•共同研究•長野県内企業•長野県外企業•国立研究所など複数•外部資金•モノコンポーネントセルラーゼによるイオン液体処理セルロースの酵素分解性評価(代表・科研費(若手B))•水熱処理及びイオン液体処理から得られる天然型キシランの構造と酵素による分解挙動(代表・科研費(基盤C))•セルロース高次階層構造に対するセルロース膨潤タンパク質の作用(分担・科研費(萌芽))•麹製造適性に基づく酒造好適米の新たな選抜技術の確立と品種育成(分担・農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業)など2.長野県産酒造好適米の育種選抜指標の開発~山恵錦~長野県農業試験場、長野県工業技術センター(食品技術部門)長野県酒造組合との共同研究15253545556575Retentiontime[min]アミロペクチンの側鎖長分析准教授⽔野正浩研究から広がる未来卒業後の未来像水野研究室では、天野研究室と共に生体触媒である酵素を利用して、植物細胞壁に含まれる糖質を食品やエネルギー、新規天然由来材料として活用するための研究をしています。植物は、植物細胞壁を進化させることで植物自身を支えたり、微生物などの侵入に対する防御を行ってきました。一方、微生物は、様々な種類の酵素を作ることで、複雑な植物細胞壁を分解できるように進化してきました。私たちは、微生物が作る酵素の性質を調べるとともに、複雑な構造をしている植物細胞壁構造の解析を行うことで、豊富に存在するバイオマスの有効活用と持続可能な社会の実現を目指しています。生物の中には、数十億年の進化に裏打ちされた究極のモノ作りのシステムが詰まっています。私たちの研究は、そこに目を向け、どうしたら利用できるかを考えることです。まだまだハッとするようなシステムを見つけられるかもしれません。バイオプロセス(生物変換)は、多くの分野で必要とされています。卒業生は食品や化学材料メーカーだけでなく、様々な分野の企業や研究所で活躍しています。また、卒業生との共同研究や社会人博士課程の受け入れが多数あります。⽣物の巧みな⽣存戦略に学ぶ〜酵素で植物細胞壁を利⽤する︕〜【私の学問へのきっかけ】小さい頃から自然と触れ合うのが好きで、生命化学に関する勉強ができる農学部に進学しました。大学3年生で受講した“蛋白質の立体構造”に関する講義に衝撃を受け、そのままその先生のラボに入り、博士課程まで進学しました。酵素研究は、食品分野など様々な分野で産業利用されており、まさに工学部が得意とする“ものつくり”にも密接に関係した研究です。一緒に、“真剣”にバイオマス研究しませんか?物質化学科東京農工大学大学院連合農学研究科博士課程を修了後、日本学術振興会特別研究員を経て、2017年より現職。専門は、植物細胞壁分解に関する酵素の研究。蛋白質のX線結晶構造解析による酵素の機能解析を中心に研究を進めている。微⽣物植物植物細胞壁(豊富な資源)酵素(⽣体触媒)植物と微⽣物の間で起こる⼀進⼀退の攻防ここにバイオマス利⽤の鍵がある︕︕酵素(蛋白質)の結晶と蛋白質の立体構造23

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