工学部研究紹介_2021_日本語版
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教授不破泰研究から広がる未来卒業後の未来像地域における様々な災害の増加を受け、通信技術を用いて安全・安心な地域を創る事への期待が高まっています。そのためには、大規模な災害が発生しても動作を続ける高い耐障害性を持つ通信、従来とは比べものにならない位高速な通信、僅かな消費電力でありながら山の奥まで長距離伝送が可能な通信といった、従来の通信技術の限界への挑戦も必要です。不破研究室では,新たな無線通信技術により実現するセンサーネットワークによりSociety5.0を実現し、安心・安全な地域創りを目指しています.通信技術の基礎的スキルを学び、新たな通信技術の研究とその応用技術を学んだ学生は、通信・情報関連企業、国や自治体、研究所など多岐にわたる業種で活躍しています。また、大学院に進学してさらに研究を続ける学生も多くいます。信州大学修士課程修了後、名古屋工業大学で学位取得。その後Boston大学等で研究を行い、信州大学総合情報センター長を経て、2020年より現職。専門は情報工学、通信工学。Society 5.0による安全・安心な地域の実現~通信技術の限界に挑戦~【私の学問へのきっかけ】2004年に発生した新潟中越地震の現場で見た光景は、通信施設が瓦解し役に立たない情景でした。何があっても情報を送り続け、地域に役立つネットワークを作ろうと決意したきっかけです。研究シーズ共同研究・外部資金獲得実績研究キーワード通信工学、無線ネットワーク、通信プロトコル、Ad-Hocネットワーク、LPWA、5G、スマートシティ•センサーネットワーク用無線ネットワーク•センサーネットワーク用通信プロトコル•LoRa通信システム•5G活用技術•スマートシティ•災害状況を遠隔地から把握するセンサーネットワークのための災害に柔軟に対応する通信インフラシステムの研究開発、総務省戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)(2014年度〜2016年度)•異システム間の周波数共用技術の高度化に関する研究開発、総務省(2019年度〜2020年度)•データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発、情報通信研究機構(2018年度〜2020年度)•地域全体の安全・安心を確保する防災・減災および鳥獣センシングを実現するセンサーネットワークシステムの研究開発、総務省戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)(2011年度〜2012年度)•Ad-Hocネットワークとセンサネットワークを用いた高耐障害性地域災害通信システムの研究開発、総務省戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)(2009年度〜2010年度)•自学自習型e-Learningにおける学生サポートシステムの開発に関する研究、科学研究費補助金基盤研究(B)(2007年度〜2010年度)•自治体全体を網羅する安心・安全な街創りのための高耐障害性アドホックネットワークシステムの開発、総務省戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)(2007年度〜2008年度)最近の研究トピックス携帯電話のサービスエリア外である山岳部にLPWAによる通信網を構築して運用する登山者位置把握システムを開発し、2018年度より中央アルプスで実証実験を実施しています。工学基礎部門(左)塩尻市スマートシティ用に開発した高い耐障害性を持つ中継機塩尻市内に614台設置(右)塩尻市スマートシティは、YRPにより高く評価された研究室の成果を国連のITUで発表自治体や国と連携し、研究の成果を用いて地域の課題を解決するシステムを創っています。塩尻市のスマートシティや、駒ヶ根市の登山者見守りシステムなどを実現してきました。今後さらに、地域におけるSociety5.0を創造します。右の写真は、駒ヶ根市役所屋上に設置したLPWA中継機です。10km離れた中央アルプス全域をカバーする通信網を実現しました。また、このシステムと5G・ドローンを組み合わせた救助システムの開発を行い、2019年10月に中央アルプスで実証実験を行いました。122

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