工学部研究紹介_2021_日本語版
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研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績研究キーワード測度論・⾮加法的測度論・積分論・⾮線形積分論・ベクトル測度・実解析学•人間行動や自然現象に潜む曖昧さと不確実さの数学的解析•無限次元システムにおける諸現象のベクトル測度による解析•分割型積分を含む非線形積分の収束定理の摂動法による統一的解析(2017~2019年度科学研究費補助金基盤研究1(C))•非加法的測度の積算概念としての非線形積分の研究と摂動法による解析手法の開発(2014~2016年度科学研究費補助金基盤研究(C))•測度の弱収束性を用いた非加法的測度の作る空間の位相構造の研究(2011~2013年度科学研究費補助金基盤研究(C))•順序空間の正則性を用いたリース空間値非加法的測度とショケ積分の研究(2008~2010年度科学研究費補助金基盤研究(C))•順序空間の正則性を用いたRiesz空間値非加法的測度の研究(2006~2007年度科学研究費補助金基盤研究(C))•測度の弱収束の理論とファジィ測度論の研究(2004~2005年度文部科学省「海外先進教育研究実戦支援プログラム」)•順序構造をもつ空間に値をとる正値ベクトル測度の弱収束とその応用(2003~2004年度科学研究費補助金基盤研究(C))•正値ベクトル測度の弱収束の研究と解析学への応用(2001~2002年度科学研究費補助金基盤研究(C))•ベクトル測度の弱収束の研究と解析学への応用(1999~2000年度科学研究費補助金基盤研究(C))最近の研究トピックス最近は非加法的測度論の構築に力を入れて研究しています。特に、非加法的測度の積算概念である非線形積分に対して、その収束定理を非線形積分がもつ摂動性に着目して統一的に解析する手法の開発を続けています。主要な関連論文や解説論文は以下の通りです。•Jun Kawabe, The Vitaliconvergence in measure theorem of nonlinear integrals, https://doi.org/10.1016/j.fss.2019.04.003.•Jun Kawabe, A unified approach to the monotone convergence theorem for nonlinear integrals, Fuzzy Sets Syst. 304 (2016) 1-19.•河邊淳, 非加法的測度と非線形積分, 数学, 第68巻, 日本数学会編, 岩波書店, 2016, pp. 266-292.教授河邊淳研究から広がる未来卒業後の未来像世の中には2種類のいい加減さがあります。一つは「桜の花が綺麗」だとか「数分で駅に着く」などの言葉・行動・評価などがもつ曖昧さ、もう一つはサイコロ投げや株価の変動に見られる偶然性に伴う不確実さです。「曖昧さの数理」と「不確実さの数理」は、これらのいい加減さを、数学を用いて測定するにはどうしたらよいかを研究する学問分野です。河邊研究室では、測度や非加法的測度とその積算概念である線形・非線形積分を用いて、『曖昧さ』と『不確実さ』を測るための数学的基礎理論の確立を目指しています。測度論や非加法的測度論は、不完全な情報のもとでの人間の行動を数理的に解明するための期待効用理論や、株価や為替の変動の解明を目指す金融工学の分野で盛んに応用されています。また、ベクトル測度は、無限次元システムを解析する際に必要不可欠な数学的道具の一つです。情報関連企業、金融、運輸、公務員、数学の教員など、就職先は多岐にわたります。特に、各自の工学的専門知識に加え、数学の研究を通じて培った論理的思考方法を修得した卒業生は企業からは好評です。また、大学院に進学して、より深く研究する学生もいます。東京工業大学大学院理学研究科博士後期課程を修了後、信州大学にて、講師、助教授を経て、2003年より現職。研究分野は、測度論や非加法的測度論。特に、非加法的測度の積算概念である非線形積分の収束定理の研究⼈間⾏動や⾃然現象に潜む『曖昧さ』と『不確実さ』を測る【私の学問へのきっかけ】皆さんは数学を勉強中に、何でこんな定理や証明を思いつくのか不思議に思うことがあるでしょう。それは教科書で学ぶのは完成された数学だからです。大学に入って、数学者が試行錯誤を繰り返し、失敗を重ねながら、新しい“数学”を創造する様子を垣間見たとき、この数学を新たに作る仕事にとても憧れをもつようになりました。非加法的測度に関する最近出版された論文。数学研究の競争相手は世界中の研究者。当然、論文は英語で執筆される論文作成時の研究ノート。1つの論文を完成するには、論文ページ数の数百倍の研究ノートが必要⼯学基礎部⾨121

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