工学部研究紹介_2021_日本語版
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准教授⽜⽴斌研究から広がる未来卒業後の未来像地球環境保全の観点から、地熱などの自然エネルギーを用いる発電の導入や拡大が必要とされています。化石燃料を用いる火力発電に対してもなお一層の熱効率の向上による環境負荷の軽減および安全性・信頼性などが求められています。牛研究室では、地熱および火力発電プラント蒸気タービン材料やボイラ機器材料の各種腐食破壊機構を解明し、材料の耐食性向上に関する研究を行っています。また、火力発電プラント高温機器用耐熱鋼について、過酷な環境における耐久性向上のための高温強度特性向上に関する研究も行っています。牛研究室では、鉄鋼材料を主として構造材料の強度特性、耐食性、耐熱性およびさまざまな破壊挙動に関する基礎的および応用的な研究を行っています。実験、分析、ディスカッションならびに学会発表等を通して金属材料関連の知識および実践能力を身につけます。将来、技術者や研究者として社会に貢献することが期待されます。卒業生は、鉄鋼材料、機械、自動車、電力、電機などの関連企業で、研究開発、設計、生産管理など多くの分野で活躍しています。また、公務員になった方もいます。発電プラント(地熱・⽕⼒等)機器材料の環境強度特性向上、安⼼な発電を⽬指す︕【私の学問へのきっかけ】高校のときは「物理」と「数学」が好きで、とくに物理の力学部分と数学の幾何学部分が大好きでした。大学では機械工学を学び、とくに「材料力学」と「材料学」の内容にすごく魅かれていました。いまは金属材料の関連分野で好きな教育研究を行えて、いろんな苦労があっても嬉しいことが沢山あります。研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績研究キーワード蒸気タービン材料・ボイラ機器材料・耐熱性・耐⾷性・クリープ・応⼒腐⾷割れ(SCC)・流れ加速型腐⾷(FAC)•構造材料の強度および破壊に及ぼす①環境因子(腐食環境、高温環境)②力学的因子③材料組織学的因子などの影響に関する研究•材料の腐食試験(浸漬腐食試験、電気化学的腐食試験)による耐食性評価ならびに防食対策•材料の応力腐食割れ評価試験および対策•材料の組織劣化機構の検討および熱処理等による長寿命化対策•多軸応力状態下での破壊機構分析(実験と解析)•蒸気タービン材料の腐食挙動に及ぼす有機酸の影響の解明(科研費基盤研究C)•金属・プラスチック複合廃棄物の分離装置の研究開発(環境省環境研究総合推進費補助金事業)(民間企業との共同研究)•地熱発電プラント蒸気タービン材料の耐食性評価に関する研究(民間企業との共同研究)•蒸気タービン用低圧翼前縁焼入れ部の耐食性評価に関する研究(民間企業との共同研究)•各種ボイラ給水環境中における炭素鋼の耐食性評価および形成皮膜特性(民間企業との共同研究)•火力発電プラントボイラ機器材料の流動加速腐食(FAC)に関する研究(民間企業との共同研究)•ダイカスト用合金工具鋼鋼材の腐食疲労に関する研究(民間企業との共同研究)最近の研究トピックス「火力発電プラントボイラ機器用改良9Cr-1Mo鋼(P91鋼)のクリープ強度特性に関する研究」(鉄鋼メーカーとの連携)が始まった!機械システム⼯学科信州大学工学部助手、助教授を経て、2007年より現職。材料環境強度学の分野において、プラント機器材料の高温強度や耐食性等の関連研究を行っている。地熱蒸気タービンブレード用13Cr鋼表面における孔食の発生・成長挙動の調査(孔食断面の二次電子像および腐食生成物のEDSによる元素分析結果)200μmCrFeO300nm炭化物ラス境界消失したラス境界火力発電プラント高圧蒸気タービンロータ用耐熱鋼の高温経年使用による組織劣化機構の探索(マルテンサイト相のラス幅増大による回復)(a) 透過型電子顕微鏡写真(b)ラス組織のイラストASTM-ASMEの規格改訂により、合金成分の微量調整や熱処理方法の変更などが行われ、改良9Cr-1Mo鋼(ASMEGradeP91鋼)のより高温で経年使用に伴う微細組織の安定性向上を図る。時間(h)改良9Cr-1Mo鋼(ASME Grade P91)のクリープ曲線ひずみ(%)600℃長時間側でも破断ひずみの低下が見られず、良好なクリープ延性を示す!102

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