平成28年度 信州大学教育学部附属松本中学校 外2校(園)研究開発実施報告書(第1年次)
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- 31 - (2)幼小中一貫教育の実現に関する評価方法 ① 同一テーマによる公開研究会の開催 現在,附属幼稚園と附属松本小学校は公開研究会を同一日に開催してはいるものの,異なるテーマで開催され,附属松本中学校は異なる時期に異なるテーマで開催されている。幼小中一貫教育の実現に向けて学校園が一体となって取り組み始めてからは,先ず,公開研究会が幼小中一貫教育に関連づけて同一日に開催され,最終年度には,幼小中共通のテーマで同一日に開催できるようになることが重要である。 ② 評価研究委員会の設置 幼小中一貫教育推進委員会の中に「評価研究委員会」を設置し,「目指す子ども像」を共有しつつ,「幼・小の接続」及び「小・中の接続」の視点から,各学年の学びにとどまらず,異なる学校段階を通じた学びの継続性の評価法を開発・運用する。 ③ 学外の教育学研究者による評価 学外の教育学研究者から本研究について指導・助言を受ける。具体的には,公開研究会において本研究に対する評価について講演を依頼するとともに,評価研究委員会で本研究の取組について指導・助言を受ける。 (3)『学びの総合化』の成果に関する評価方法 ① 測定可能な成果の評価 『学びの総合化』による測定可能な成果については,全国学力・学習状況調査(国語,算数・数学:小学校第6学年及び中学校第3学年)のうち,実生活における知識・技能等の活用をみるB問題に対する解答状況を分析し,経年変化に基づいて『学びの総合化』について評価する。また,「思考力・判断力・表現力等」及び「学びに向かう力,人間性等」については,教育評価を専門とする外部研究所とともに新評価法の開発を予定している。 ② 測定困難な成果の評価 『学びの総合化』による測定困難な成果については,子どもの活動の観察,アンケート調査に基づいて診断的/形成的/総括的に評価する。 例えば,幼稚園における【遊びの学び化】については,保護者に対するアンケート調査で経年変化に基づいて評価するとともに,当該の園児が進学した低学年の担当教員に対するアンケート調査で経年変化に基づいて評価する。 また,幼稚園における【遊びの学び化】による小学校における【学びの教科化】への影響,そして,小学校における【学びの教科化】による中学校における【教科等の総合化】への影響については,他の小中学校から附属松本小/松本中学校に入学してきた児童・生徒と幼小中一貫教育を受けた児童・生徒の比較によって明らかにする。 さらに,中学校における【教科等の総合化】については,地域の方々と共に地域が抱える課題等に向き合い,各教科で身に付けた力を総動員してその解決に向けて取り組んでいくため,生徒の自己評価に加え地域の方々による評価を取り入れる。この際,地域の抱える課題を解決するために,中学校の各教科・領域における学びを総合的に活用できたかどうかを生徒自身が評価するとともに,地域との交流の場における児童・生徒の表現活動を通じて,生徒の自己肯定感や更なる活動への意欲の高まりを質的に評価する。 (4)理数・技術教育,外国語教育の充実による成果に関する評価方法 ① 測定可能な成果の評価 理数教育の充実については,全国学力・学習状況調査(算数・数学,理科:小学校第6学年及び中学校第1学年)のうち,知識・技能の習得をみるA問題の結果を分析し,経年変化に基づいて評価する。特に,理科について全国学力・学習状況調査が実施されない年度については,NRTやCRT等の標準化テストで評価する。なお,小学校低学年での領域「科学」の成果については,小学校第3学年末に標準化テストで経年変化に基づいて評価する。 技術教育,外国語教育の充実については,英検・TOEIC等の外部検定を利用し,認定された各等級などの人数に関する経年変化で評価する。特に,技術教育による成果に関して,プログラミング的思考の評価法について研究を進める。

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