- 30 - 子どもの問いや願いを忘れずに研究開発を進めていきたい。(小学校教師) ・次期学習指導要領との関係が一番気になるところであると思う。研究開発としてどこに独自性があるのか,まだよく分からないので,そこを研究開発の一員としての自覚をもってはっきりさせていきたいと感じました。(中学校教師) ・将来の変化を予測することが困難な時代を生き抜く「たくましく心豊かな地球市民」を育成するのだから,私たち教師も子どもに先んじて,課題探究力・自己表現力・社会参画力を発揮してこの研究開発に取り組んでいきたい。教師の成長なくして,子どもの成長なし。(小学校教師) 3 保護者への効果 保護者は,総合的な学習の時間の取り組みに対しては,活動そのものには十分理解を示してくれてはいたものの,教科等の学力を重視する傾向が強く,児童・生徒にとって今必要な学習であるという意識は低く,学習活動そのものの意味が十分に伝わっていなかったのではないかと分析している。しかしながら,生徒が総合的な学習の時間に打ち込む姿や地域の行事に参画していく姿を見守ることを通じて,保護者が児童・生徒の成長を感じ,総合的な学習の時間に対する認識も変わってきた。実際,児童・生徒と保護者が「家庭で総合的な学習の時間のことを話題にする機会も増えた」という声が聞かれるとともに,「保護者も児童・生徒と共に行事に参画することで,保護者同士も互いの家庭の考え方や価値観を知り合うことができるようになった」という声が寄せられている。 4 その他の効果 ~大学の中期目標・計画における附属学校園のミッションと実現可能な目標の明確化~ 信州大学の中期目標(15)の中期計画(15-2)において,次の事項が記載され,松本附属学校園に対する大学からの理解と支援が受けやすくなってきている。 平成28年度計画を実施した内容 「幼小中で一貫したカリキュラムの実現に向け,松本地区附属学校園間の連携を強化するために,幼小中一貫教育推進委員会が設置され,定例で開催されている」 平成29年度計画を実施した」といえる状態にするための取組事項 「幼小で一貫したカリキュラムを実現するために,次の2点を実施する。 • 幼稚園における【遊びの学び化】に焦点化して,教育課程を編成・試行・評価/改善 • 小学校低学年における「学びの領域」に焦点化して教育課程を編成・試行・評価/改善。 4 実施の効果を検証する評価方法の検討 (1)基本方針:学びの評価「何をどのように学び,何ができるようになるのか」 新しい時代を生き抜く児童・生徒が,何事に対しても主体的に取り組もうとする意欲や他者と協働しながら問題解決を図っていく資質・能力を育成するために,児童・生徒の学びの状況から具体的な支援の手だてを見出し,「児童・生徒が,何をどのように学び,何ができるようになるのか」を総合的に評価する。 ① 「何をどのように学ぶか」についての評価の方針 学びの対象については,育成すべき資質・能力の視点から,幼小中を通じ教科・領域を“縦に”貫く力を明確に捉え,各学年の発達段階に応じて評価するとともに,各学年の各教科・領域等で習得すべき力及び教科・領域を“横に”貫く力を内容・活動に即して評価する。 一方,学びの方法については,前述の力を習得していくにあたり,全人教育の立場から児童・生徒が「全き人」(Homo totus)として,どのように「ひと・もの・こと」と互恵的な関わりを深め高めるとともに組織化・活用できたのかを質的に評価する。 ②「何ができるようになるか」についての評価の方針 学びの成果については,課題の発見や解決に向けた探究的な学びの過程に伴う,学びへの関心・意欲・態度,学び方等の変容について評価する。特に,教科・領域等で習得した力を実社会や実生活の中で活用した成果を主体的・協働的に表現することを重視する。
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