- 28 - (1)児童の実態 ・課題探究力に関わる項目(質問番号4,44,47等)において,全国平均よりも特に高い傾向が見られた。これは,本校園で伝統的に大切にしてきている児童・生徒の中にある問いや願いから学習活動を立ち上げた教育を推進してきたこと,園児の中にある問いや願いを支えて遊びに打ち込める保育を推進してきたことによる効果であると考えられる。 ・自己表現力や社会参画力に関わる項目(質問番号29,59等)でも,全国平均よりも高い傾向にある。具体的には,国語では,読むことに係る活用の力が高まっている一方,書くことに係る活用については苦手意識をもっている。課題としては,教科のみならず,総合的な学習の時間などにおいても情報を整理して書くこと,統合して事象を見つめて表現していくことが明らかとなった。 (2)生徒の実態 ・B問題の結果と,質問紙調査における「地域との関わり」「社会に対する興味・関心」「総合的な学習の時間(項目36,37)」で全国平均より高い結果が見られた。これは,日々の授業(教科の総合化,総合的な学習の時間)において,地域や暮らしを取り上げる学習を積み重ねてきたことによると考えられる。 ・課題探究力,自己表現力,社会参画力に関して,「世界から見た日本の資源とエネルギー」における教科横断的な学習(2年)として,社会科教師と理科教師が協働で,発電の仕組みを学び,エネルギー問題をより身近に考えることができるための授業を開発・実践した。その結果,生徒達は,これからの電力のあり方や自分と電気・エネルギーとのかかわり方について,「資源や環境をとるか,コストをとるか」「今の自分の生活をとるか未来の自分や社会をとるか」等の葛藤を通じて,自分自身が調べて分かったことや自分の家の状況を基に自分の考えの根拠を明らかにし,さらに友人の意見によって自分の考えを再構成しながら,自分なりに納得できる判断をすることができた。さらに,地球規模で今後のエネルギーについて,身近なところで自分にできることを見いだしていこうとする生徒の姿が見られた。 ・課題探究力,自己表現力,社会参画力に関して,総合的な学習の時間『信州松本・浅間温泉まちおこC』(3年)において,生徒達は,地域の意識に関するアンケート調査の作成過程において,アンケートに答える側の気持ちを慮り,地域の方が何についてどのような結果を得たいのかについて検討することなどを通じて,相手の立場になって考えることができるようになった。また,生徒達は,教科で培った力を総動員して課題の解決を図っていた。例えば,浅間温泉PRのためにCM作りを考える場面では,音楽で学んだことを活かしてより印象に残るメロディについて追究したり,理科で学んだことを基に温泉の成分を調べたり,国語科で培ったプレゼンテーション力を発揮して,様々な場所で自分たちの学びを発表したりした。 2 教師への効果 (1) 幼稚園での保育研修により,小学校職員に見えてきた効果 小学校全職員が幼稚園で保育研修(一日または半日)を行った。この研修を通じて,小学校職員の子どもの見方,接し方に変化が生まれている。 「年少さんの感性には到底追いつけない,感じられない私がいました。そして,何と言っても度々“寂しい”と感じてしまった私。いかに今,クラスの子たちを私の手の内に入れてしまっているのかを痛感しました。クラスの子たちの目はどうだろう。本当に子どもたちが興味があること,疑問に思うことに応える授業をしているのか。子どもたちの生まれもっている力,本能とでもいうのでしょうか,そこに段差を作らずに真っ直ぐ伸ばしてあげられようになりたいと思いました。」(小学校職員の感想より) (2) 幼稚園における教師への質的な効果 幼小中合同職員会において,幼小中全職員が附属幼稚園の子どもたちの遊びの姿をビデオで視聴した。視聴後,小グループに分かれ遊びの様子を話し合った。実際の遊びの姿を通して,幼稚園では「やりたいことにとことん向かっていく経験をたくさんしていく」ことが大切にされている点を幼小中全職員が知り合う機会となった。また,話し合っていく中で,遊び(お金を扱う場面・箱を垂直につなげる・紙を半分に折ってからはさみで切る場面等)
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