平成28年度 信州大学教育学部附属松本中学校 外2校(園)研究開発実施報告書(第1年次)
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- 14 - 生徒の身近な暮らしの中にある電化製品に端を発した本題材において,Yさんの問いは途絶えることはなかった。Yさんの問いの変容,それはすなわち彼女がPDCAサイクルを発展させながら自分で考え,探究していく姿であった。このYさんのような姿は,中学校で「教科を総合化」することによって生まれたものであり,課題探究力が育まれている姿ととらえている。 (2)自己表現に関わる資質・能力を発揮する子どもの姿 ①理科や社会,道徳の視点から対話しながら,総合的に最善解を見出そうとしていくN君の姿 (小学校低学年 新設「暮らし領域」に関わって) 10月,クラスで飼っているちゃぼが初めて卵を産んだ。卵が生まれる度に「また生まれてた!」と喜びながら,孵卵器に入れる子どもたち。2週間もしない間に孵卵器は卵で一杯になった。そんな時教師は“このままでは転卵がうまくできず,有精卵も無事に生まれなくなってしまう。検卵をして無精卵を孵卵器から出した方がいい。それに,そもそも孵卵器に入れてよかったのか”と感じていた。そこで教師は,子どもたちが「孵卵器の中が卵で一杯になってしまったこの状況をどうしていくか」を考え合う授業を構想した。 以下は,教師が卵で満杯になっている孵卵器の写真を掲示したときの授業記録の抜粋である。 子ども:「これ以上生まれたら入らなくなっちゃう。」 子ども:「多すぎても困るんだけど,同じ孵卵器を買うと3個くらいは必要なんだけど,転卵するのも難しいから増やした方がいいと思う。」 子ども:「殻が割れてひよこが出てきても,卵がじゃまになっている。」 子ども:「孵卵器のことをお母さんと調べたんだけど,リトルママっていうのがあって買うと結構高いけど,レンタルで30日で6,000円ていうのもあった。」 教 師:「ちょっとさ,これからみんなが考えていきたいことってどんなこと?」 H 君:「孵卵器の中が多すぎる。検卵をして,生まれない可能性が一番高い卵は孵卵器から出さないと,生まれる卵が今度は生まれなくなっちゃって,孵卵器も回らなくなっちゃう。だから,これから生まれる卵のことも考えて,検卵して,見分けて,生まれない卵は出した方がいいと思う。」 子ども:「孵卵器が一杯で,今日の2時休みにもクロピーが卵を生んで,明日とかも生まれたら孵卵器に入らなくなっなぜ冷蔵庫の中は冷えるのか。 ペルチェ素子が関係しているようだ。 でもペルチェ素子はすぐに熱くなってしまう。 どうすればペルチェ素子の温度を低く保つことができるか。 金属やファンを使って熱を放出させて 何度まで下がるかみてみよう。 8℃まで下げることができたよ。 もっと持続させるには どうしたらいいだろう。 金属の面積を拡げて, 温度変化のデータを取ってみよう。 4日間も持続できたぞ。 でも,長くなったら結露ができてしまった。 結露で濡れないようにするには どうしたらいいだろう。 水と触れないよう内部に網を設置してみよう。

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