- 2 - 化】(以下,『学びの総合化』)を教育課程編成の枢軸として。なお,本研究で「学び」を「目標に向かって展開される意識的行動」と捉え,特に,【遊びの学び化】は,遊びを学びの萌芽形成として価値づけることを意味するものとする。 『学びの総合化』により,就学前教育及び義務教育の両段階を通して学びの連続性が高く,義務教育としての学びを全うする教育課程の編成が可能となるとともに,それに基づく有効な指導・評価の開発が可能となると期待できる。 学びの領域・教科等の新設による『学びの総合化』の実現 ‣ 小学校低学年における「学びの領域」の設置 『学びの総合化』を実現するには,小学校における【学びの教科化】,即ち,学びを教科の学習として充実することが必要であり,そのためには,高学年で各教科に分化することを想定し,低学年では教科間の互恵性を可能な限り断ち切ることなく緩やかに融合しておくことが望ましい。そこで,小学校低学年で,幼稚園で育まれてきた学びの芽を緩やかに統合し,資質・能力を心身両面からバランスよく伸長できるようにするために,「学びの領域」を設定する。「学びの領域」における学びの内容や方法を「遊びの視点」として位置づけることにより,幼稚園での遊びに「学びの領域」に結びつく萌芽を見出し,幼稚園での遊びと小学校での学びとの連続性を保証する。 学びの領域の設定にあたっては,心の成長の側面(知性|感情|意志)と,身の成長の側面(生命保存|活動力)に注目する(小原國芳『全人教育論』価値体系論)。このうち,心の成長における「意志」の側面は,道徳的に振る舞おうとする実践理性であり,身の成長全体に寄与し,教科「道徳」に該当する。一方,資質・能力を心身両面からバランスよく伸長できるようにするために,心の側面(知性|感情)と身の側面(生命保存|活動力)を結び合わせ,次の4領域(暮らし|科学|表現|ことば)を設定する。 身 生命保存 活動力 心 知性 暮らし 科学 感情 表現 ことば 意志 道徳 図2 心・身と「学びの領域」の関係 各領域と,小学校低学年における教科との対応,小学校高学年における教科との接続については,次の通りである。 表1 「学びの領域」と小学校の教科と対応及び接続 ‣ 「遊びの視点」導入による幼小接続の保証 小学校における【学びの教科化】を実現するには,幼稚園における【遊びの学び化】,即ち,遊びのなかに,資質・能力の素地となる学びの萌芽を見出すことが必要である。具体的には,自発的な遊びのなかに学びの素地を見出すことが欠かせない。そこで,小学校低学年で設置する四領域での学びの内容や方法を「遊びの視点」として位置づけ,遊びのなかに「学びの領域」に結びつく萌芽を見出し,幼稚園での遊びと小学校での学びとの連続性を保証する。 ‣ 小学校高学年における,教科「英語」「技術」の新設による小中接続の保証 幼小中一貫教育における教育を【学びの教科化】として充実するために,小学校低学年に学びの領域「ことば」を新設し,小中学校の接続を図るため,小学校高学年に教科「英語」を新設する。また,小学校低学領域 小学校低学年における教科との対応 小学校高学年における教科との接続 ことば 主に,国語科,英語活動 主に,国語科,英語科 科学 主に,算数科,生活科,理科 主に,算数科,理科,技術科 暮らし 主に,生活科,社会科,体育科(保健分野) 主に,社会科,家庭科,体育科(保健分野) 表現 主に,体育科(体育分野),音楽科,図画工作科 主に,体育科(体育分野),音楽科,図画工作科
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