「幼小で一貫したカリキュラムを実現するために,次の2点を実施する。 • 幼稚園における【遊びの学び化】に焦点化して,教育課程を編成・試行・評価/改善 • 小学校低学年における「学びの領域」に焦点化して教育課程を編成・試行・評価/改善。 (2)実施上の問題点と今後の課題 ①研究開発実施上の問題点及び今後の課題 ◆ 研究開発体制の連携強化の必要性 本学校園の全体体制として,研究開発の意義と方向性を共有し,職員一人一人がより一層主体的に実践に取り組めるように,全職員の意向が集約される機能の強化が求められる。また研究推進委員会が中心となって,全体体制の中における職員一人一人の研究開発の役割分担が明らかにされ,教科間・校種間での実践の連携体制のさらなる強化をしていくことが必要である。 ◆ 研究開発学校の評価の充実・実現の必要性 各校園独自で実施している既存の自己評価アンケートなどに,課題探求力・自己表現力・社会参画力の実態把握に必要な資料となり得る内容を盛り込んでいく必要がある。また,最終的な成果の評価をどのような形で行うのかという見通しを早期に立案していかなければならない。 ◆ 特別な教育課程の実施に伴う諸問題への対応 次年度より現行の学習指導要領に基づく教科書を用いながら,本学校園の特別な教育課程を実施していく。この際に直面する問題として,本研究の教育課程に適した教材や活動の選定,教育課程として教材や活動の系統化,授業時数の適切な配分などが想定され,これらの諸問題についての対策を具体的に立てていく必要がある。 ◆ ICT支援員と外国語指導助手(ALT)の不足 中学校段階における学習の単なる前倒しではなく,発達段階に即して資質・能力を育成するためには,教育課程を定期的に検討・修整していくことが課題となる。この課題を解決するためには,ICT端末の設定やネットワーク環境の管理,ICT活用に伴うシ種々のトラブルへの迅速対応,新しいアプリケーションソフトに関する教材研究等の業務に専従できるICT支援員の加配が必要である。また,幼稚園と小学校低学年における英語活動及び高学年における「英語科」でコミュニケーションを基本とする授業の充実のためには,次年度以降ALTの加配が必要である。 ②今後の研究開発の方向 ◆ 育みたい資質・能力を整理し,幼小中の接続を図る 幼稚園,小学校,中学校において,それぞれの学校段階における育みたい資質・能力について,子どもの具体の姿から語り合い,整理していく。整理した資質・能力を幼小中の職員が意見交換し,つなげていくことによって,幼小中の接続を図っていく。 ◆ 評価法の開発 本校園で育みたい資質・能力がどの程度育まれているのかを把握するための評価法の開発を模索していく。学校園単独での評価法の開発は困難が予想されるため,評価法開発の実績を有する外部研究機関と連携を図りながら,本学校園に適した評価方法の開発を進めていく。 ◆ 教育課程に適した教材や活動の選定に必要な教科書と指導書の整備 現在,各学年の各教科について担当教員には一社の教科書が提供されているが,他社の教科書や指導書は手元になく,教材や活動を選定に十分な環境が整っていない。それなので,小学校及び中学校について,既に手元にあるもの以外の教科書及び指導書の購入をし,開発される教育課程に適した教材や活動を選定していく。 ◆ 幼小中一貫教育に関して先行する研究に取り組んでいる学校園の視察 本研究の意義や価値を明らかにするためには,幼小中一貫教育に既に取り組んでいる学校園における研究の過程や成果を知ると共に,それらの学校園の教職員と幼小中一貫教育について協議することが重要である。そのため,幼小中一貫教育に関して先行する研究に取り組んでいる学校園の視察を積極的に行う。 ◆ 教職大学院との連携強化 信州大学教職大学院では,学校拠点方式が採用され,附属学校の教職員の中には,大学院生として実践な課題の解決に日々取り組んでいる者がいる。そのため,教職大学院のカリキュラムにある実践と省察のサイクルの中に本研究開発学校の研究が効果的に位置付けるための仕組みを大学とともに検討していく。
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