人文学部研究紹介2020-2021
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34経 歴●研究分野英米言語文化コース所属学会と学会での活動主要学術研究業績研究から広がる未来と将来の進路日本英文学会​日本中世英語英文学会​西洋中世学会​中世英語・中英語文学研究​英語学分野​●現在の研究テーマ​1.中英語騎士ロマンスにおける異教徒の表象​中世後期の英語(中英語)で書かれたロマンスと呼ばれる物語群では,しばしばキリスト教徒の騎士と異教徒の対決や交流の様子が描かれる。これらの物語においてキリスト教を信奉しない異教徒は,奇妙な姿や習慣をもつ異質な存在として,歪曲した形で描き出されている。中英語ロマンスは自分たちとは異なる存在を表現するためのこうした表象伝統が,様々な歴史的文脈においてどのように利用されていたのかを示唆してくれる。​​2.中世英語文学とヨーロッパ​中英語で書かれた文学作品を対象に,中世のイギリスがヨーロッパ大陸から受けていた影響について研究している。中英語で書かれた物語にはフランス語で書かれた種本をもとに作られたものが多く,フランス語やイタリア語作品との比較を通して,中英語文学作品の独自性を明らかにする。​古い時代の英語で書かれた物語を読むことで,英語という言語の持つ特徴をより深く理解できるだけではなく,我々が現在当たり前のことだと認識している思想や文化がどのようにして生まれ,変わってきたのかを知ることができます。そうした歴史的な変化に対する視点は,グローバル化や多様化が進む現代社会で生きていくためのとても大切な力となるはずです。​・‘Son of the Devil: Christian Corruption and Saracenic Attributes in Sir Gowther’, Studies in Medieval English Language and Literature, vol. 32 (2017), pp. 37-54​ 中英語で書かれたロマンス作品の一つである『ゴウサー卿』の物語を対象に,異教徒を描くための様々なモチーフが,キリスト教徒の罪深さを表現するために用いられていることを指摘した。​​・‘Genealogy of the Isolated Knight: From Boccaccio’s Filocolo to Chaucer’s Troilus and Criseyde’ , 『藝文研究』 107号 (2014) pp. 17-36​ 中世における騎士道の理想が,14世紀のイタリアとイギリスの異なる二つの作品において同様の手段で揶揄されていることを指摘し,作品間の影響関係を論じた。​2010年3月慶應義塾大学文学部卒業​2012年3月同大学大学院文学研究科前期博士課程修了​2012年9月〜13年5月King’s College Londonに留学​2015年3月慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士過程単位取得満期退学​その後慶應義塾大学,駒沢大学,明治大学などでの非常勤講師としての勤務を経て,2019年10月に信州大学人文学部着任。​​●助教 趙 泰昊

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