農学部研究紹介2020-2021
36/44

32木材利用学研究室武田孝志教授林野庁勤務を経て1992年4月より信州大学農学部。木材利用に関する分野で特に信州カラマツ材の強度特性など実用的側面を意識した研究に関心があります。信州型接着重ね梁の静的曲げ試験(長野県林業総合センターにて)(写真一枚or複数枚組み合わせ)木質接着パネルの屋外暴露試験(共同研究)木材利用学研究室(武田)では、木材利用学に関わる分野の中で、木材および木質材料/エンジニアード・ウッドの物理的・力学的特性の解明を通じて、実用的な視点からアプローチしています。また、従来の木材のマテリアル利用に加えて、エネルギー利用の方向性あるいは環境負荷の影響など循環型社会形成に向けて役立つ研究を目標としています。信州を代表するカラマツ材の強度特性など地域の課題に積極的に取り組む一方、木造住宅の耐震性に深くかかわる部材強度特性等に関する実験も行い、木材利用を社会実装に向けて支援するための研究を進めています。私たちは木材利用の立場から、木材の持っている優れた特性をたどり、安全安心かつより効率的な利用方法につなげるための基礎的研究を中心に行っています。実用的側面を重視しつつも、理論的解析・詳細な観察に取り組むことにより、木質科学の発展にも貢献することを願っています。木材利用推進は、木材の炭素固定能を通じて地球温暖化防止に貢献することから、学内外の研究者ならびに企業との共同研究ならびに地域の要請にこたえるべく研究に励んでいます。木材の強度実験等を通して木材の基本的な特性を理解し、その理論的バックボーンが身につきます。また、自ら企画して試行錯誤を重ねながら研究を進めることによって、力を養うことができます。これまでの卒業生をみると、官公庁や住宅メーカーなど広範な分野で活躍しています。木材のマテリアル利用について力学的特性など色々考えてみる研究から広がる未来卒業後の未来像森林・環境共生学コース平松晋也教授高知大学農学部助教授を経て、2005年より現職。研究分野は砂防学で、崩壊や土石流の発生メカニズムや予測手法に関する研究を行っている。霧ケ峰高原で実施した登山道侵食に関する現地観測と散水実験。一連の研究成果は、(公社)砂防学会から優秀発表論文賞を授与された。平松研究室では、“山岳地域での土砂生産・流出の原因や土砂災害の対策”に関する研究を行っています。崩壊や土石流などによる土砂災害の発生のメカニズムをはじめとして、森林斜面の土層内に分布している樹木の根系や土の中に形成されたパイプの存在が斜面の安定性に及ぼす影響度評価や森林の伐採が土砂生産に及ぼす影響など、森林の土砂災害抑制機能の定量化やその限界を明らかにしようとした研究も行っています。最近では、一度発生すると大規模災害を引き起こすことになる深層崩壊のメカニズム解明に向けた研究を開始しています。基礎学力と応用力を身につけるだけではなく、論文作成を通して文章作成やコミュニケーション能力を身に着けた4年生・大学院生は、主に国や県、建設関連企業の技術者として活躍しています。災害に強い快適な生活圏と持続可能な生物生産基盤の創生を目指して研究室では、流域内で生産されたり流出する有害な土砂を効率的にコントロールすることにより地域住民の人命や財産を守ることを目的とした研究をしています。最近多発している大雨によって、全国各地で土砂災害が数多く報じられており、本分野は以前にもまして重要になっています。自然の猛威に打ち勝つことはできないかもしれませんが、その力をうまくコントロールすることのできる手法や技術を開発することにより災害に強い快適な生活圏と持続可能な生物生産基盤の創生が可能となります。森林の土砂災害抑制機能その限界の定量化に向けた研究の推進(森林は、我々の生活をどれだけサポートしてくれるんだろう?)土層内部での雨水の挙動の観測:根系周辺崩壊によりむき出しになった樹木根系(森林の崩壊抑制効果はどこまで期待できるの?)腐朽根Φ5.0cm採水部の概要活性根森林土壌採取用100ccサンプラー流域保全学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像森林・環境共生学コース

元のページ  ../index.html#36

このブックを見る