農学部研究紹介2020-2021
30/44

26野生資源植物学研究室荒瀬輝夫准教授帯広畜産大学大学院修了、京都大学大学院博士後期課程中退。民間企業を経て、2003年より信州大学農学部に赴任。博士(農学)、博物館学芸員。フィールドにおける植物分類・生態、統計学関連の教育研究に携わる。研究室所蔵の植物さく葉標本。北海道から九州まで、海岸・水域から高山に至るまでの植物を採集・保存し、教育研究に活用している。ヤマブドウ果房の調査(右上)、マタタビ果実の調査(右下)。富士北麓における植生調査のひとコマ(左)。食用・薬用から緑化まで野生の資源植物を学ぶ・活かす野生資源植物学研究室では、樹木だけでなく草本・シダ植物も対象として、食用・薬用・緑化(植生回復)など「野生植物を資源として活かす視点」で教育研究を進めています。そのための基礎として、植物の分類地理・生態の把握と特性の評価に取り組んでいます。鳥獣害や種子散布者としての位置づけで鳥類なども研究対象としています。常に農学を意識し、広い視野で問題に取り組むため、普段から他研究室と連携していることも大きな特色です。また、もともと農場・演習林を管轄する組織(AFC)にあったことから、これら学内フィールドの管理運営にも深く関わっています。未利用・低い利用の野生資源植物の中には、すぐれた特性を有するものが数多く埋もれています。当研究室では、現在のところヤマブドウ・サルナシ・マツブサ・ウワミズザクラ(食用)、マタタビ(薬用)、陸生スゲ類(緑化)などを扱っており、採集・栽培・加工による地域産物化や、資源量の評価につながると期待されます。また、伊豆諸島の台風崩壊地に調査地を置くほか、大学構内に造成したビオトープを管理しており、長期にわたる調査をもとに緑化や植生回復の技術に一石を投じることが期待されます。植物分類・植生調査・資源評価の知見と技能をもとに、自然環境関連の公務員、教員、食品・緑化・環境アセスメント等の業界で活躍することが期待されます。研究から広がる未来卒業後の未来像森林・環境共生学コース植木達人教授北海道大学助手を経て信州大学へ。豊かな海と山に抱かれて育ち、人間の生きる原点を学ぶ。専門は森林施業・経営学であるが、林業が川中・川下の需要、地域社会との繋がりを抜きに語れないことから、研究視野を広げ、現場重視の学ぶスタイルを貫いている。(写真一枚or複数枚組み合わせ)3つの森林施業法の流れと林分構造森林セクターを中心とした地域内産業連携のイメージ図合自然的な森林施業が豊かな森を育みタフでマイルドな地域社会を創造する森林は住民の命と暮らしを守り、同時に地域経済を根底から支えています。このことは森林の造成による公益的機能の向上と木質資源の利用は表裏一体であることを示しています。植木研究室では森林の造成と利用を統一する技術(森林施業法)について、森林社会学、地域経済学、歴史学を駆使し、その発展過程を解明しつつ、未来指向型の漸伐施業法、択伐施業法の確立および環境保全型森林経営の創造を目指してます。さらにこうした森林経営が地元林産業や地域産業と結合し、新産業の構築につながることを目指しています。インターナショナルな環境問題を意識しつつも、山造りや森林経営のリーダーとして、豊かな地域社会(農山村)の発展に貢献できる人材を育てている。森林・林業に係わる国家公務員や地方公務員(都道府県、市町村)、林業・林産企業、森林組合など多方面の分野で活躍している。環境保全型森林経営の確立と実践が、森林そのものを高いレベルの生物多様性へと導き、今以上に森林機能の幅を広げることつながるでしょう。同時に私たちが有効利用できる森林由来の資源の幅を広げ、新たな産業の創造に貢献するでしょう。良質な水の生産や木質エネルギーによる農林漁業振興、森林景観の保全と生物多様性による安全な農林業産物の獲得と商品開発、エコを売りにした観光産業の創造、子供たちの教育の場としての活用等々、豊かな地域社会が見えてきます。研究から広がる未来卒業後の未来像森林施業・経営学研究室森林・環境共生学コース

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る