農学部研究紹介2020-2021
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14神研究室では、農産および食品バイオマスを飼料原料として再利用するための技術開発を目指しています。現在は、長野県の特産物であるリンゴ、キノコおよび牛乳を一括りにした生産体系を作るために、リンゴジュース粕からキノコ培地を作り、キノコ廃培地から牛用飼料を作るための分野横断的研究を行っています。また、養鶏場からの窒素排出量を減少させ得る給餌プログラムおよび排泄物処理方法の開発を、海外の大学と共同で研究しています。私たちは、環境になるべく負荷をかけないように飼料を生産するために、農産業や食品工業から排出される廃棄物から飼料原料を作りだそうとしています。また飼料の最終形である畜糞を環境負荷の少ない方法で土壌に返すための方法を考えています。全ての研究テーマは実用化を念頭に置いていますので、企業との共同研究を積極的に展開しています。また環境低負荷は世界的な課題でもありますので、畜産由来の環境負荷物質の排出を減少させる目的で、海外の大学とも共同研究を行っています。未利用資源の飼料化や食資源循環に関する研究を通じて、飼料加工、家畜飼育、栄養素分析等に関する実践的な技術が身につき、また環境に対する意識も向上します。卒業後は牧場、食品・飼料会社等で活躍できる人材になります。神勝紀教授香川大学農学部助手を経て1992年2月より信州大学農学部。環境低負荷畜産を達成するために、未利用資源の飼料化や食資源循環に関する研究を分野横断的に行っている。資源の有効利用で食料生産と環境低負荷を達成する~フードリソースリサイクリング~リンゴジュース粕を培地原料として育ったキノコ(特許取得)とその廃培地から作成した牛用発酵飼料インドネシア・ジャンビ大学との共同研究(養鶏場からの窒素排出低減に関する研究)動物栄養飼料学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像動物資源生命科学コースオリゴDNA入り?近年、健康維持・増進、疾病予防・早期回復など、食品の果たす役割は極めて大きなものとなっています。当研究室は、荻田助教、重盛助教との共同運営体制をとっており、食品分子および経口素材もたらす生体調節作用について追求しています。とくに酪農科学・乳酸菌科学を軸として、乳酸菌の菌体成分が有する免疫特性の他、新しい機能を備えた乳酸菌の創発研究に取り組んでいます。将来的には、科学的根拠に基づく新たな機能性食品・飼料素材の創製を実現させたいと考えています。下里研究室では、21世紀予防医学の時代に先駆け、農学生命科学分野から、人類の健康維持・増進に寄与する基礎研究を進めています。具体的には、オリゴDNAグループと乳酸菌・腸内細菌グループに分かれて、学部生から大学院博士課程までの学生さんが、日々研究活動に没頭しています。将来的には、オリゴDNAと機能強化乳酸菌を絡めた新たな概念を打ち立て、信州発の“食べる”乳酸菌ワクチンの創製を目指します。大学院(修士課程・博士課程)への進学の他、就職先としては、主に食品系・製薬系メーカーに卒業生を輩出しています。とくに研究室では「自主性の強化」に重点を置いています。研究課題の解決に向けて、方策を徹底的に考え、研究計画の企画・立案、実験による検証と成果発表(論文作成とプレゼンテーション)に至る一連のプロセスを重視し、指導しています。下里剛士教授米国食品医薬局、米国国立ガン研究所・博士研究員、信州大学テニュアトラック助教・准教授を経て、2019年より現職。研究分野は、動物生命科学・分子生命工学・乳酸菌科学。食べるオリゴDNA微粒子の開発と乳酸菌の機能強化研究100nmオリゴDNA微粒子の開発食べるオリゴDNA研究高機能性乳酸菌を…☆探す☆デザインする☆創る乳酸菌ワクチンの創製研究免疫抑制型オリゴDNAの2次構造モデル1% DNA50〜200 nm99% Capsule組換え乳酸菌の開発ワクチン効果の検証疾病モデルマウス経口投与オリゴDNAは、感染症、ガン、アレルギー、炎症性疾患の予防・軽減など、幅広い作用が期待されてる機能性分子です。私たちは、オリゴDNAを100 nm程度のカルシウム性ナノ粒子に包摂した、「DNAナノカプセル」を開発しました。現在は、様々な疾病モデルマウスを用いてDNAナノカプセルの経口投与試験を実施し、作用効果の検証を進めています。これまで乳酸菌は、健康効果を担うものとして発酵食品の製造に積極的に利用されてきました。しかし近年、有用物質の生産体や運搬体としての役割、すなわち「乳酸菌粘膜ワクチン」の開発が期待されています。私たちは、人類の健康維持・増進という観点から、様々な乳酸菌組換え体を作出し、乳酸菌粘膜ワクチンの開発基盤の構築を進めています。分子生命工学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像動物資源生命科学コース

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