SHINSHU UNIVERSITY SOCIAL RESPONSIBILITY REPORT 2018-2019
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SHINSHU UNIVERSITY SOCIAL RESPONSIBILITYREPORT 2018−201911海外からの留学生の受入と日本人学生の海外への派遣を戦略的に行い、国際的な視点をもって世界で活躍する人材を育成します。また、海外大学・研究機関等と積極的に交流して国際共同研究を推進し、研究レベルの向上を図ります。2018年7月、長野(工学)キャンパスで仏リール大学サテライトオフィス in 信州大学開設セレモニー及び両大学の連携強化に向けた会議が行われました。信州大学と仏リール大学は、2014年2月に大学間学術交流協定を締結して以来、計算知能分野を中心とした国際共同研究と教育(グローバルな人材育成)に取り組んできた経験を踏まえ、2017年7月に、国際連携ラボ(LIA-MODO)をリール大学内に設置しました。このたび、同大学のアジア初の拠点となるサテライトオフィスを信州大学工学部内に設置し、国際連携ラボを中心とする国際学術交流活動の一層の活性化を図ることとなりました。開設セレモニーでの記念撮影環境・エネルギー材料科学研究所の金子克美特別特任教授とFerdinando Vallejos-Burgos研究員のグループが、グラフェン上の“ナノ窓”が酸素、窒素、アルゴンを選択的かつ迅速に分離できることを理論的に証明しました。本研究成果は、イギリスの科学誌「Nature Communications」電子版に2018年5月4日付で掲載されました。本研究はグラフェンに大気条件下で安定に存在するナノ窓では、その縁が協奏的に振動し、窓の実際の開口部より大きな分子が透過するというものです。また、ナノ窓の枠の協奏的な動きが、極めて大きな分子透過速度と高い選択透過性をも可能にすることを示しており、省エネルギーで極めて迅速に空気を分離する革新的な技術を提案しています。この研究成果は分離したガスの利用を更に広げることにつながります。1-1革新的空気分離を発表信州大学、北信州森林組合、アジア航測株式会社で構成するスマート精密林業コンソーシアムは、2018年2月、都道府県会館(東京都千代田区)にて「レーザセンシングによるICTスマート精密林業in東京」を開催しました。世界的にICT(情報通信技術)によるスマート精密林業は注目されています。精密な省力化技術であるレーザセンシングによる森林の資源管理、間伐木の自動選木、衛星情報を活用した間伐木へのナビゲーションとハーベスタによる収穫作業、丸太情報のインターネット転送によるクラウドサービスなどの先端技術を駆使して、川上・川中・川下での木材サプライチェーン構築に向けて「長野モデル」を開発しています。世界の先頭でレーザセンシングによる森林管理技術を開発する北欧のフィンランド最先端レーザ研究所などの多くの研究者にも登壇いただき、日本林業の成長産業化を目指す共同シンポジウムとなりました。1-3フィンランド・日本合同シンポジウム レーザセンシングによるICTスマート精密林業in東京バイオメディカル研究所の齋藤直人教授を中心とした研究グループが新しい骨再生医療・骨折治療材料となるチタンファイバープレートを開発しました。従来のチタンプレートとは全く異なり、チタン繊維を素材とし繊維形状を残したまま板状に成形したもので、カーボン科学研究所の中山昇准教授が開発し、2016年に日米で特許を取得しています。2015年からは医学部附属病院整形外科の滝沢崇診療助教がこのチタンファイバープレートを用いて細胞実験と動物実験を行い、再生骨と一体化して長期間体内に留置できることを確認しました。長期間体内に留置できるチタンファイバープレートを骨折治療に使えば、抜去手術の必要がなく、患者の負担が軽減されます。また、腫瘍などで骨を摘出した後の欠損部分に足場材として埋め込み、骨を再生させるなど、骨の治療に幅広く利用できることが期待されます。今後は企業と連携し、製品化を目指します。1-2新しい骨再生医療・骨折治療材料となる画期的なチタンファイバープレート開発挨拶したフィンランド大使(左から3番目)と登壇したフィンランド研究者たち骨組織修復のためのチタンファイバープレート0.378nmのナノ窓(黒:炭素、赤:酸素、白:水素)2仏リール大学サテライトオフィスin信州大学を開設

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