繊維学部_学部案内2019
8/32

必要な機能性から逆算し、分子をデザインする。ナノテクノロジーとは、観察手法・解析手法が飛躍的に発達したことで可能になった、原子や分子のスケールで物質を自在に制御する技術。つまり、分子をデザインすることで、材料そのものに機能性を持たせるということです。しかし、ナノテクノロジーはあくまで手段であって、目的ではありません。この研究室では、分子の合成力を磨き、製品に適したスマートな材料を提供していける力を養っていきます。生態系をお手本に、環境に優しい材料を。人体は細胞分裂を繰り返してできている、つまり膜で覆われています。浸透圧を調整しながら、膜がさまざまな物を体内で出入りさせていますが、人間の膜は精度が高いとは言えません。その欠点を補うように分子を合成することができれば、薬品を通さないフィルターなどとして、浄水器などに実用化ができるかもしれません。このように、生態系には多くのヒントが隠されており、生物を人工的に模倣することが研究の第一歩とも言えます。ナノテクノロジーが引き寄せる、衣服の新時代。10億分の1のナノの世界で、物質の基礎ともいえる分子を合成すれば、大きな装置がなくても機能表現ができます。現在、研究を進めているのは、圧力センサーや電気が流れるしくみを繊維と組み合わせたスマートテキスタイルの開発。これが形になれば、モーションキャプチャの技術を使わなくても動きを記録できたり、自分以外の人が感じた感触を共有できる衣服が誕生するかもしれません。人間の快適な居住環境に起用するインテリア製品の機能性を追求。生物の構造をヒントに分子をデザインし、新たな機能性材料を生み出す。7

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る