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マンチェスター大学への研修など、このプログラムでのさまざまな経験があったからこそだと思っています。広報室 博士課程を修了した学生たちにとって、現代は「受難の時代」ともいわれています。「博士課程に進んでも就職口がない」といわれ、なかなか博士課程に進む学生が少ないのが現状ですよね。三浦先生にお聞きします。そのような現代の風潮に対して、本プログラム設計の中で意識されたことはありますか。三浦 今おっしゃられた通り、とくに日本の場合、博士課程まで進めばほぼ研究一筋、将来は研究室に残り研究を進めるという将来像を描く人が多いかと思います。企業側の採用担当者からも「博士課程を出た学生は、専門分野が狭すぎて採用しづらい」といった声が多く挙がっていました。リーディングプログラムでは、その修正を行っていかなければならないと考えました。 だからこそ、学生たちには知識の習得だけでなく、隔週土曜日に東京にある「事業構想大学院大学」に通ってもらうなど、実際のビジネスに目を向けるマインドを持ってもらえるよう意識しました。それが、本プログラムの大きな特徴のひとつだと考えています。その結果、多くの学生にインターンシップ先から直接オファーが来ています。ただ、本当に厳しいカリキュラムなので、学生たちはよく耐えてくれたと思っています(笑)。広報室 就職活動の面接の中で「博士である」ということに対し、企業側から特別な反応はありましたか?石川 私は博士課程人材を紹介する就職サイトから就職活動をしたので、特別な反応はありませんでした(笑)。設楽 私も花王を受けた際は、特別疑問を投げかけられることはありませんでした。研究を大切にしている会社なので自分が取り組んできた研究の話をする時間をたくさんいただいたことは覚えています。別の機会に「これだけの経験をしていて、なぜアカデミックな世界に残らないのか」と聞かれたこともありました。その際は、「リーディングでたくさんの経験をしたからこそ、社会に出てみたいと思った」と伝えるようにしていました。広報室 まさにそれが、このプログラムのゴールですよね。最後に一言ずつ、信州大学で過ごした日々がどのようなものだったか、教えてください。設楽 大変だったこともたくさんありましたが、すごく充実した学生生活だったと感じています。友人や研究室の皆さんのおかげも大きかったですが、先生方が皆優しくて、学生の意見もきちんと聞いてくださる方ばかりだったことも充実した学生生活を送れたことにつながると思います。指導教員の先生はもちろん、リーディングに入ってからは、より多くの先生方からいろいろなアドバイスを頂きました。繊維学部ならではだと思います。石川 繊維学部は、繊維のことだけでなく、生物のことから化学や物理に至るまで、幅広い領域の研究をしています。さまざまな分野の原理的な部分を学べたことは、今に生きていると感じます。仕事をしていればさまざまな課題にぶち当たります。専門の狭い知識だけでは行き詰っていただろうと。事柄の、解決の糸口を手繰り寄せる能力は、ここでの学生生活で養われたと感じています。劉 日本に来た当初は、日本語も全く話せませんでした。言葉の通じない国で本当にやっていけるのかと不安もありましたが、繊維学部で出会った友達や仲間がいたからこそ乗り越えてこられたと思っています。信州大学での4年間を一言で表すとしたら「充実」ですね。いろいろな温泉にも行きました(笑)。文化の違いも感じながら、さまざまなことを学べた4年間だったと思います。広報室 素晴らしいですね。3人の修了生の皆さん、これからも企業でのお勤め大変かと思いますが、頑張ってくださいね!本日はありがとうございました。「博士課程受難の時代」にリーディングプログラムが持つ意味とは?劉 兵 (Bing Liu) さん 2013年に中国から留学。2014年にリーディングプログラムに参加し、後期3年間の課程を2年で終え、2018年3月に修了。学生時の専攻は複合材料工学。現在はJNCファイバーズ(株)繊維開発センターで、ナノ繊維フィラーの研究開発に従事。石川 浩章 さん2009年信州大学繊維学部入学。2014年にリーディングプログラムに参加し、2019年3月に修了。学生時の専攻は応用生物学。現在はオリエンタル技研工業(株)の筑波研究所に所属し、同社製品に関する実験動物施設の実証や管理などに従事。石川さんの留学先、ゲント大学(ベルギー)で研究のために訪れたキャンパス内の施設りゅうへいいしかわひろあき皆さん、楽しいお話、ありがとうございました。06

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