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広報室 本日はお集まりいただきありがとうございます。三浦先生、まず最初に、本プログラムを「オンリーワン型」で申請された経緯を教えてください。三浦幹彦特任教授(以下:敬称略) やはり国内唯一の「繊維学部」ですからね。「繊維」というと一般的な人は衣服や布などを想像するかと思いますが、彼らの就職先を見ても分かるように、ナノファイバーやナノカーボン、感性工学など、繊維学部が対象とする分野は今やあらゆる科学技術の基盤になっています。しかしながら、繊維に関わるより専門的な人材を養成する場はあまりない。だからこそ、本プログラムはオンリーワンなものになると考えました。広報室 このプログラム全体として、海外へのインターンシップ、ものづくり合宿、研究室ローテーションといった、非常にユニークな内容が多いですよね。それでは修了生の皆さんにお聞きします。このプログラムを経験されて、自分が成長したなと感じたこととか、思い出深いエピソードなどを聞かせてください。設楽稔那子さん(以下:敬称略) ものすごくたくさんのことを経験したのですが、ものづくり合宿でタイの染料の工場に伺ったときのことは印象に残っています。日本の技術を学び、クオリティを保つために努力をされている現地の方々の意識の高さを肌で感じ、価値観が変わりました。それまで海外でものづくりを行う目的は、コスト削減や量産化を目指した結果なのだと思っていたので…。 そのほかにも国内外のさまざまな企業の方とお会いしましたが、皆さん独自の技術を持ち、ポリシーを持って仕事に取り組まれていて、改めて「繊維」という領域は、長い歴史を持ちながらも今なお革新的技術を生み続けている、とても面白い分野だと感じました。 あと、留学先のスウェーデンの大学で受け入れ先の先生の研究を少し手伝ったのですが、「感性工学を取り入れたい」と盛んにおっしゃっていたのも印象的でした。“五感を製品に活かす”という領域は、弊社でも今積極的に取り組んでいる所です。石川浩章さん(以下:敬称略) ひとつ挙げるとすれば海外研修です。私の留学先はベルギーのゲント大学だったのですが、専門の研究とは違う領域の研究室だったので、珍しい研究機器などもあってすごく興味深かったです。ただ、やはり全体を通して得た一つひとつの経験の積み重ねが私にとっては一番の財産ですね。広報室 繊維学部には国際的な連携基盤がすでに存在しており、グローバルな内容に富んだカリキュラムが実現できたことも、大きな特徴ですよね。留学生である劉さんはどうでしょう?劉兵さん(以下:敬称略) お見せしたいものがあるのですが…。(ファイルから「辞令」を取り出し)この「辞令」が、私のリーディングプログラムでの経験を象徴しているように思っています。私にとって、リーディングプログラムへの参加が人生のターニングポイントでした。 実は私はもともと、研究者志望だったんです。その思いが変わったのは、このプログラムでのインターンシップがきっかけでした。インターンシップ先で、大学での専攻と全く関係のない分野の課題に取り組み結果を出したときに、自身の論文が雑誌に掲載された時よりも強い充実感を覚えたんです。自身の研究開発しているものが世の中の人に使ってもらえるなんて、どれほど幸せなことだろうと。そこで修了後は日本の企業に就職することにしたのです。結果がこの辞令。しかも、そのインターンシップ先が、現在働いているJNCでした。 またインターンシップでの課題を高評価で終えられたのも、研究室ローテーションや学生同士の研究交流会、またイギリスの海外実習、ものづくり合宿…成長を感じた印象的な出来事は?ファイバールネッサンスを先導するグローバルリーダーの養成7年間の軌跡。博士課程教育リーディングプログラム(平成25年度採択オンリーワン型)三浦 幹彦 特任教授蚕糸学の研究に長年従事。1981年より繊維学部教員として学生指導に当たり、1994年より同教授。現在は特任教授。リーディングプログラム「ファイバールネッサンスを先導するグローバルリーダーの養成」のメンター教員を務める。設楽 稔那子 さん2010年信州大学繊維学部入学。2014年にリーディングプログラム第1期生として参加し、2019年3月に修了。学生時の専攻は感性工学。現在は花王(株)研究開発部門感覚科学研究所に所属し、ビューティーケアと人間科学に関わる研究に従事。学生時の専攻は感性工学。劉さんの留学先のマンチェスター大学正門(2016年9月)劉さんのインターン先(滋賀県)の先輩たちと金閣寺へ(2017年1月)設楽さん留学先のUniversity of Boråsより学生が実験のために来日。リーディング大学院生と懇談会を行った(2017年春)設楽さんはタイの東海染工株式会社(TOKAI DYEING CO., (THAILAND)LTD.)で工場を視察み うらみきひこしたらみなこ05

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