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本プログラムの事業基盤である「博士課程教育リーディングプログラム」は、「オールラウンド型」「複合領域型」「オンリーワン型」の3つの類型に分かれています。本プログラムはそのうちの「オンリーワン型」で申請し、採択されました。繊維・ファイバー工学分野は、信州大学が誇る先鋭研究領域のひとつで、いまや宇宙航空、エネルギー、光通信、農業、医学、アパレルなど、あらゆる産業の基盤技術となっています。今後、社会を取り巻くあらゆる課題に対し、重要な役割を果たしていくことが期待されています。繊維学部はもともと繊維・ファイバー工学分野のあらゆる領域における研究シーズを持ち、多くの実績があります。この実績と国内唯一の「繊維学部」という強みを活かした、まさに「オンリーワン」な教育プログラムであることが、本プログラムの最大の特徴です。また、繊維・ファイバー工学分野の専門的知識だけでなく、マネジメントリーダーとして物事を俯瞰的に眺め、異分野、異業種の技術・人材を国際的な視野でつなぐことのできる橋渡し役としての能力の育成も目指しました。そのための英語力強化は全カリキュラムを通じ常に学生たちに課せられており、最終的にはTOEIC800点相当以上が求められます。履修期間は、前期課程(修士課程)2年間、後期課程(博士課程)3年間の計5年間。繊維・ファイバーに関する専門知識だけでなく、周辺分野や先端分野に関する広範な知識や技術を身に付けられるよう、さまざまなカリキュラムを用意してきました。前期課程(修士課程)の2年間は、繊維学部「国際ファイバー工学研究拠点」内の「国際ファイバー工学教育センター」に学生居室を用意し、若手研究者や海外からの招へい研究者等とともに、教育・研究を進める環境を提供。修士課程1年、2年の「ものづくり・ことづくり演習」では、海外の大学との合同ワークショップや工場見学などを実施してきました。学生自身が専門を超えた視野とチームワーキングスキルを身に付けることを目的とした「研究室ローテーション」といったユニークな取り組みも特徴的です。また、博士後期課程に進むと、主導指導教員に加え、海外研究者からの研究指導や、学内の各研究プロジェクトへの参画など、多彩な研究指導が受けられる体制を整えてきました。また、海外特別実習として連携先である海外の大学への派遣や、国内外の企業へのインターンシップが必須科目となっています。こうした国内外の大学、産業界、研究者との連携も本プログラムの特長のひとつ。現在、繊維学部は、欧州繊維系大学連合(AUTEX)(※1)をはじめ、50を超える海外の繊維系大学・研究機関と交流協定を締結しています。これまで繊維学部が築いてきた国際的な研究連携や拠点整備によるつながりにより、こうしたグローバルなカリキュラムが実現しました。留学生の受け入れも積極的に行い、これまでに8か国の国々から留学生を受け入れています。厳しいカリキュラムに奮闘する履修生たちのメンターとなるのが、プログラム設計にも携わった三浦幹彦特任教授。研究や生活全般に関わるさまざまな相談相手として、学生たちを支えています。次ページからは、三浦特任教授と修了生3人に広報室がインタビューした様子をお伝えします。信州大学の誇る先鋭研究、繊維・ファイバー工学分野をオンリーワン型で申請5つの能力を持つ新しいタイプの博士人材の養成1.繊維・ファイバーに関する専門知識・応用力2.人類社会の諸課題とファイバー技術を結びつける俯瞰力3.基礎研究から応用研究、製品化・事業化研究までを繋ぐ能力4.先導的なプロジェクトマネジメント能力5.異分野、異業種のグローバルな橋渡しにより新しい価値を創出できる能力2020年2月7日に行われた履修生と修了生との懇談会では、学業成績優秀者の表彰が行われました。この日、成績優秀者として表彰されたのは留学生のファン デュイナムさん。下坂誠繊維学部長から表彰トロフィー授与。(※1)欧州繊維系大学連合(AUTEX)繊維・ファイバー工学に関連するヨーロッパの大学連合組織。繊維学部は準メンバーとして加入しています。AUTEXは、繊維教育の標準化と研究の質保証を目標にしており、これまでも加盟大学への学生の送り込みや受け入れを行ってきました。本プログラムの海外大学への派遣なども、AUTEXの加盟大学に多くを依頼しています。 f o r F i b e r R e n a i s s a n c eNEXT PAGE04

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