11 素描スケッチ・石膏像・ブロンズ像を対比することで、鶴三本人の繊細なタッチと、作品の制作過程を知ることができる。制作年代:昭和13年(1938年)スケッチブック 石膏像 ブロンズ像 高さ27×幅31×奥行17㎝(スケッチ・石膏像・ブロンズ像)松本キャンパス 中央図書館猫 古稀を迎えた鶴三の母、石井ふじをモデルに制作され、昭和2年(1927年)の第14回再興院展に出品されている。 信州大学所蔵の像は平成元年(1989年)に鋳造されたもの。石膏原型は東京藝術大学大学美術館所蔵。作者 ・ 石井 鶴三松本キャンパス 中央図書館明治20年(1887年)-昭和48年(1973年)母古稀像制作年代:鋳造 平成元年1989年石膏原型:昭和2年1927年ブロンズ 高さ42×幅24×奥行24㎝ 日本画家の石井鼎湖を父に、洋画家の石井柏亭を兄に持つ石井鶴三は、戦前・戦後を通じて活動した、日本を代表する芸術家の一人である。その活動範囲は幅広く、彫刻家、画家としての活動を中心に、小説挿絵、版画作品も数多い。また、芸術家としての創作活動に加え、美術教育においても多くの業績を残し、美術論などの執筆活動も盛んに行っている。 信州大学では、平成22年(2010年)3月に石井鶴三の遺した資料-彫刻、スケッチブック、版木、書簡、書籍や愛用品など約3万点の寄贈を受け、整理・調査を進めている。石井鶴三という芸術家の遺した資料を総合的に研究することにより、美術の分野のみならず、日本の近現代の社会全体をとらえ直すことを目指している。信州大学の文化資産彫刻・造形編平成25年(2013年)3月、信州大学は文化資産を一堂に集めた『凜※―信州「知の森」の文化資産』を発行いたしました。 前身校の時代からの建造物、絵画、書跡、古文書など、大切に保管され受け継がれた歴史を語る貴重な文化資産を紹介したこの冊子は、大学のみならず、関係者や地域の方々には郷土の誇りと思っていただけるよう、信州の貴重な文化資産を後世に伝える1冊となっています。 この中からシリーズでいくつかのアイテムを紹介していきたいと思います。※「凜」は平成6年(1994年)、信州大学医学部50年史発行にあたり、書道家の川村龍洲氏に揮毫いただいた作品で、本誌にも収録させていただきました。「いつまでも凛々しく、気高くあってほしい」との願いが込められており、信州「知の森」文化資産の編纂にあたり、総合テーマといたしました。ははいしいつるぞう作者 ・ 石井 鶴三いしいつるぞうこきぞう信州ゆかりの、稀代の芸術家石井 鶴三 遺品万点
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