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「環境問題はローカルな課題でもあり、グローバルな課題でもあります。社会や経済とも密接に関わります。相互に関係し合うことを理解し、統合的な視点を持ちながら考えていくことが大切です」。コース設計を統括した信州大学学術研究院(総合人間科学系)金沢謙太郎教授(全学教育機構)は話します。世間から注目を集めている国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」は、前身のMDGs(ミレニアム開発目標)と比べ環境に関わる要素が細かく盛り込まれました。環境に関わる課題に対し地球規模で取り組んでいかなければならないという機運が、いま世界中で高まっています。「私が専門とする環境社会学や環境人類学には、環境問題は単に環境の保護をするだけではなく社会的な公正さとクロスさせて考えていかなければならない、という大切な概念があります。SDGsはそうした学問背景とも合致しています。具体的な現場を歩きながら、SDGsをどのように捉え、実践するのか、学生たちと一緒に考えていきたいと思っています」(金沢教授)。もともと信州大学は10年程前より独自の環境教育に取り組んでおり、1年次、全学生に対し、教養科目「環境科学群」の1科目(2単位)を必修としています。また海外での取り組みを学ぶため、毎年、選抜した学生を対象にした「環境教育海外研修」を実施してきました。信州大学としてもこれまでISO14001を取得し、ごみ処理やリサイクル、環境に関わる研究、エネルギー、気候変動に対する対策などに取り組んできました。現在はISO14001を返上しましたが、これまでの取り組みを継続・発展させながら、より信州大学に適合した「環境マネジメントシステム(EMS)」を構築するため活動を始めています。「環境マインド実践人材養成コース」では、環境内部監査員養成講習会も必修にしています。現在、工学部の祢津栄治技術専門員とともに、講習内容のバージョンアップに向けた教材を開発しています。また、本コースでは、EMS英語の習得を通じて国際的な共通理解を深めるための実践の場を用意しています。ゲスト講師陣の企画と設計に取り組んだのは信州大学全学教育機構 加藤麻理子准教授。「実際の現場で課題に向き合い、日々奮闘している実務者の話を聞く機会をより多く設けるよう意識しました。そこで刺激を受け、知識を蓄えるだけでなくアウトプットしていける人になってもらいたいという意図があります」(加藤准教授)。今年度の「環境マインド実践基礎論」 のゲスト講師の専門分野は多種多様です。また、民間企業のご紹介については(一社)長野県環境保全協会の多大なご協力をいただいています。SDGsに力を入れる長野県の担当者からは、SDGsの概要、社会的背景や地球温暖化対策の取組について、環境省信越自然環境事務所からは「自然環境行政の最前線」というテーマで講演していただきました。民間からは、八十二銀行の方によるESG金融など環境と経済のかかわりの最前線のお話や、長野県のモデル事業にも採択された「(株)山翠舎」(本社・長野市)の方から、古木の利用・流通というビジネスと、SDGsを意識した事業の在り方について紹介していただきました。そのほかにもエネルギー、廃棄物、水問題、国際協力など、環境に関わるホットなキーワードをさまざまな角度から伝える内容となっています。それは持続可能な循環共生型の社会構築を意識した課題解決には統合的な視点が欠かせないからです。充実した実地研修も本コースの特徴のひとつです。「通常の授業ではなかなか行信州大学の伝統でもある環境教育を高度実践型人材育成に「実践者」から学び取る環境マインドとそのアウトプット金沢 謙太郎信州大学学術研究院(総合人間科学系)全学教育機構 教授専門は環境社会学・環境人類学。特に、地域の人びとの資源利用の変化を、その地域をとりまくグローバルな政治経済の関係のなかで追究するポリティカル・エコロジー論。マレーシア・サラワク州の狩猟採集民・プナン人のもとに通い、彼らの森林資源利用について調べる。加藤 麻理子信州大学全学教育機構 准教授専門分野は自然環境保全、エコツーリズム、環境行政全般。日本の豊かな自然環境を代表する国立公園などにおける自然資源の保全と利用のあり方を研究対象とし、自然を生かした地域づくりやエコツーリズム推進の現状や課題について考える。ゲスト講義風景 写真は八十二銀行による「なぜ今、ESG金融なのか ~お金の流れが世界を変える~」遠藤守信特別特任教授による世界の水問題に関する講義も実施信州ならではの“グローカル”な実地研修を通じて、感じ、学ぶ05

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