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15愛知県刈谷市と言えば、豊田自動織機とトヨタ自動車の創業の地として知られるが、いまでもトヨタグループの会社が数多く拠点を置いている。その刈谷市で11月2日に行われた、トヨタグループ合同こまくさ会を取材した。この会は、トヨタグループの16社に就職した信州大学卒業生の懇親を目的とする同窓会で、毎年この時期に開催していて、今年で13回目になる。今回の会場は豊田自動織機の社員倶楽部シャインズで、一昨年はデンソーの同様な施設Dスクエアを使ったそうだ。この日の参加者数は120名だったが、登録会員数は1000名を超える。会員数の10分の1程度の参加率だが、会員の多くが仕事で世界を飛び回っている現役世代であることを思えば、なかなか帰属意識の高い集まりだ。当日会場に到着すると、ホールの入り口には会社ごとに受付が設けられていて、各社に置かれた幹事役が受付を行っている。座席は、14の丸テーブルに分かれ、所属する会社を超えて同世代の卒業生たちが懇親を深められるように指定されている。1960年代、1970年代卒業の役員クラスの方から、入社ほやほやの新入社員まで、実に幅広い世代が参加していた。会の冒頭、乾杯の挨拶は、この会の会長である藤岡高広氏である。藤岡氏は工学部卒で、トヨタ自動車の常務を経て、現在はトヨタグループの特殊鋼製造を担う愛知製鋼の社長を務めている。挨拶のなかで、5月に経法学部の「現代産業論」のゲスト講師として講演したことも紹介していただいた。セルフサービスの料理を皿に取ってしばらく歓談した後、小生からも「信大の近況」と題してお話しさせてもらった。式次第のなかで恒例となっている企画が二つある。その一つは「各社こまくさ会近況」で、各社の幹事から、各社ごとの新入会員数と「こまくさ会」(信州大学卒業生の懇親会)の活動の様子の報告をする。二つ目は「信州は今」コーナーで、毎年当番の会社を決めて、青春時代を過ごした信州の「今も変わらない風景」、「昔と様変わりした景色」などを取材してきて報告するものだ。懐かしい信州の話題に会が大きく盛り上がる。また、このころには、席を移動して、世代を越えて、歓談に花が咲く。会を閉めるのは、参加者全員が肩を組んで、「信州哀歌」の合唱。「信州哀歌」は、繊維学部の修己寮で前身校の時代から歌い継がれた寮歌で、1970年代の信州大学では、伝統ある歌として全学の学生が「春寂寥」とともに愛唱していたものだ。この歌を、前口上、後口上付きで歌った。最後の集合写真は、別フロアーの会場に移動して撮影する。会場に社員倶楽部を使っているが故の贅沢な計らいだ。さて、今回の「信州は今」コーナーを担当した豊田合成の佐藤真氏は、報告の締め括りに上田城の石垣をプロジェクターに映した。大きな石と小さな石が組み合わされて石垣ができているからこそ地震に強い。佐藤氏が伝えたかったのは、この石垣の特徴が「トヨタこまくさ会」での横のつながりにも通じるということだろう。社会に出て不安一杯の新入社員が先輩に励まされ、また普段の仕事を越えて横のつながりを持つことの大切さを感じた一時だった。信州大学副学長(広報担当) 德井 丞次登録会員1000名以上を誇る、信州大学卒業生同窓会「トヨタグループ合同こまくさ会」取材レポート

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