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12池澤 ここからはこのテーマで。増木先生はこれまでにも産学連携を実践しておられますが、どんな風になっていくとお考えですか?増木 そうですね。私達の研究は共同研究でないと成しえなかったものです。例えばカロリー計やアプリの開発などは全て企業に協力していただきました。少しの運動で最大限の効果を得たい、というのは誰でも思うテーマですので、今は、その効果を高める食品に関する企業や、運動量による健康の未来予測ができることに注目した保険会社などと連携をさせていただいています。池澤 今まで産学の連携で難しかった点はありますか?増木 そうですね。企業の方と大学の研究者では、結果が出るまでのスパンに対して考えに差があります。企業の方は半年程で結果を出したいと思われるかもしれませんが、順調に進めたとしても実際には実証実験をし、論文を通し、認められるまでには長い時間がかかります。長期的なスパンに立って一緒に研究を進められたらいいなと思いますね。池澤 宮川先生は、どうお考えですか?宮川 そうですね。私の研究は産業分野と相当親和性が高いように思いますし、幅広く応用可能な内容なので、今後は積極的に企業とも連携していきたいと思います。池澤 どうやったら自分の研究とマインドが合う企業が見つかるのでしょうか?増木 そうですね。まず、研究者が自分の研究のエビデンスに基づいたデータを蓄積していくことと、それを積極的に外部発信することが大切だと思います。池澤 アウトプットする上で(企業の方に)わかりやすさも重要かなと思いますが、基礎研究では少し難しい点もありそうですね。宮川 そうですね。基礎研究では普段、学会などで研究者向けに発表しているので、 今日の見本市のように企業と研究者をつなぐマッチングの機会があるととても伝わりやすいのかなと思います。池澤 企業と大学が協業する上で、企業の販売分野と大学の研究分野で考え方にズレが生じることもあるかと思うのですが、そこを埋める工夫などはありますか?増木 そうですね。研究者側はその研究を社会に実装したときにどのように役に立つかを常に意識している必要があると思います。実際、企業さんと共同開発した製品があまり売れず(笑)疎遠になってしまった、ということもありましたが、うまくいけば社会への広がりは大きいですし、お互いの立場を理解しあい進めていければいいなと思います。池澤 市場で売れるということにはなかなか難しいこともあるのですね。増木 ただ企業単体の研究開発と比べ、大学は社会的に中立の立場にあるので、大学と共同で行った研究は、対外的なエビデンスが重みのあるものになると思います。企業の方にはそうした価値も感じていただいて大学を利用して欲しいと思いますね。池澤 企業と共同研究を行ってよかったことはありますか?増木 そうですね。私達は研究するために研究費が不可欠ですが、公的な資金は期間が短いことも多く、企業は長期的にサポートしていただけるのでとてもありがたく、支えていただいているなと実感します。宮川 研究者は研究内容に関する知識はたくさんあっても、現実の問題点は企業の方が詳しい、ということも多いので、連携することでよりお互いの強みをしっかり活かしていけると思います。池澤 企業との共同研究件数の多さは信大の特徴のひとつと伺いました。信大の産学連携が今後ますます活発になっていけばいいですね。今日は、どうもありがとうございました。 これからの未来、産学連携はどう変わっていく?見本市特別企画タレント兼エンジニア池澤 あやか さん1991年東京都生まれ2006年第6回東宝シンデレラ審査員特別賞受賞2014年慶應義塾大学環境情報学部卒業2019年4月からはNHK Eテレ趣味どきっ!「そろそろスマホ」の講師を務める公式ツイッターアカウントは@ikeay記念の特別企画として「新世代がつながる未来」ージでしたが、タレント兼エンジニアの池澤あやオメディカル研究所の増木静江教授と工学部電が、これからの研究や産学連携について熱い思た後のトーク集を採録)企業単体の研究開発と比べ、大学と共同で行った研究は、対外的なエビデンスが重みのあるものになると思います。(増木)企業との共同研究件数の多さは信大の特徴のひとつと伺っています。信大の産学連携が今後ますます活発になっていけばいいですね。(池澤)信州大学先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所ニューロヘルスイノベーション部門増木 静江教授2003年信州大学大学院医学研究科修了2018年信州大学学術研究院(医学系)教授かさんとトークセッション二つ目のトークテーマ

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