NOW119_web
10/20

09ながのブランド郷土食12年間の軌跡。長野県は全国有数の農産物出荷量を誇り、それに伴う食品加工業も大きなウェイトを占めているが、地域食品企業は、OEM生産依存によるブランド力不足や、少子高齢化や健康志向などによる「食」の多様化に伴う技術開発力不足など幾つかの課題を抱え、産業界からは高度な人材養成が望まれていた。そこで信州大学工学部は地元の長野市と連携、食品製造分野での技術革新を担う人材を創出し、地域経済の活性化を目指すことを目的に、平成19年度、現天野良彦工学部長がプロジェクトマネージャーとなり、文部科学省科学技術振興調整費 地域再生人材創出拠点の形成プログラムに申請、課題名「ながのブランド郷土食」が採択された。こうして信州大学大学院工学系研究科に、新たに長野市を中心にした地域食品関連企業の技術者を対象にした社会人再教育コース(1年間)、学生を対象にした大学院食品科学コース(2年間)を開設、農学部及び医学部とも密接な連携をとると共に、他大学をはじめ各種関係団体の連携・支援を得ながら本プログラムの取り組みを開始した。「ながのブランド郷土食」は平成23年度に5年間のプログラムを終了、修了生35人の計画に対し目標を達成した。こうした実績を背景に、平成24年度からは、大学の運営費と連携自治体の長野市からの負担金により、現在に至る。さらに平成27年度には文部科学省の職業実践力育成プログラム(BP)の認定も受け、信州大学大学院総合理工学研究科「ながのブランド郷土食」社会人スキルアップコースプログラム(BP)として再スタート。平成19年度から平成30年度の資格認定者(ながの食品加工マイスター)を97名輩出、新商品も誕生、当初の目的である食品製造分野での技術革新を担う人材の創出と地域経済の活性化にも寄与していることから、令和元年度をもって一区切りとすることとなった。技術革新を担う人材育成で地域貢献!工学部発の「食」創造!そのユニークさで注目度アップ!!新宿高島屋「大学は美味しい!!フェア」に毎年出展!平成19年度文部科学省 科学技術振興調整費 地域再生人材創出拠点の形成プログラム2008年から始まった「大学は美味しい!!フェア」(主催:小学館)に第6回から参加、同イベントが2017年で終了するまで毎年出展し話題を提供した。写真は石破幹事長(当時)の視察の際、カレーグルメということで、きのこカレーを試食いただいた。工学部発のカレーという意外性も話題になった。 社会人再教育コースでは、実践的教育カリキュラムとして、新製品開発などをテーマとした課題研究が課されており、開発製品の後押しをするため、大学の商標とプログラムロゴマークを使用できる「ながのブランド郷土食推奨品」認定制度を新たに設置。認定基準は、信州大学のシーズを活用し、主原料は長野県産であること、且つ課題研究から誕生した新商品並びに大学オリジナルの新商品であることとし、多くの認定商品が誕生した。社会人技術者修了者には、現場における問題点を解決するために必要な基礎知識を習得、その手法を自ら考案し、更に難しい問題については、本プログラムを通じて構築した人的ネットワ一クを駆使できる能力を要求した。また、技術的要素に加えて、企業経営に関する知識も習得した。また、大学院の修了者は、実践的な教育を通して、新規の食品加工業を創出できる開発能力を身に付け、更に企業の収益と共に環境にも配慮した技術を考慮できる能力を要求した。「ながのブランド郷土食推奨品」認定制度とロゴCOLUMN人材養成の手段 ・ 方法大学院食品科学コース(2年間)インターンシップ・修士論文現場の問題解決に関する課題研究学位:修士(工学)修了認証:ながの食品加工マイスター技術革新を担う人材創出社会人再教育コース(1年間)共通カリキュラム食品プロセス工学食品バイオテクノロジー食品科学企業経営概論機能性食品特別講義分離工学、膜処理技術、機能性物質抽出などの講義と実習微生物管理、酵素処理、生化学の講義と実習機能性食品伝統文化食と健康などマーケティング企業の社会的責任など公開シンポジウム食品プロセス技術食品バイテク技術機能性食品開発ビジネス展開技術新商品開発平成20年(2008)平成20年(2008)平成19年(2007)平成19年(2007)平成21年(2009)平成21年(2009)平成2(20平成2(20平成22年(2010)平成22年(2010)

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る