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NEXT PAGE大学のディングを考えるtheme伊藤尚人(司会) 信州大学は今年周年事業を実施する節目の年、ということで今、広報室は大学史資料センターと一緒に長野県の高等教育黎明期とも呼べる頃の歴史アーカイブスを作っています。やはり大学の歴史は、信大のブランディングを考える上で大きなファクターになります。7つの前身校を持ち、各地にキャンパスが散らばるいわゆる「タコ足」で「信州」という日本唯一の旧国名を冠した国立大学。信州大学誕生はひとつのドラマです。(※ひととおり資料を説明、詳細は信大NOW5月号に掲載)その歴史の中で、法人化後は大学の特色をどう魅力的に広報するかが課題となってきました。近年では研究の先鋭化などが図られ、大学の評価そのものにつながっています。そうした時代背景からも、ブランディングを意識した広報活動が必要ではないかと考えています。 まず、朝日新聞社の川崎さんに伺います。朝日新聞では2016年から国公立大学特集企画を推進していると聞きます。川崎紀夫さん(以下敬称略) その特集企画の初回には、信州大学にも参加いただきました。おかげさまで毎年好評のようです(笑)。やはり、何もしなくても大学に学生が入ってくる時代はすでに終わりかけていて、こういう学生が欲しくて、どういう人材を育成する、最終的にどんな人材を社会に輩出していくのか、そうしたプランが自然と出てくる大学がこの先残っていくのではないかと思います。ブランドも重要と思いますが、メッセージ性重視といったところでしょうか。 あと広報・PRと宣伝、ブランドは、私は全然違うものだと思っていますが、これを機に「ブランディング」とは何か、ご専門である藤島さんに改めてお聞きしたいのですが、いかがですか。藤島淳さん(以下敬称略) 実は今、ブランドビジョン、ブランドエクイティ、ブランドエッセンス…などブランドのつく言葉が氾濫しているんです。外資系のエージェントが商売道具として使っている節もあるので、言葉の定義に神経質になっても仕方がないかなと思っていますが。 それで、私が今日提案しようと思って持ってきたものは、極めてシンプル。ズバリ「北極星プロジェクト」です。「北極星」って、いつも“そこ”にあって動きません。まずは目指すべき北極星を定め、進む。 「信州大学はこの北極星を目指すんだ」ということを発信していけば、おのずと、あるべき教育や研究、組むべき企業、必要な体制や評価制度みたいなものも見えてくる。北極星が決まれば、もうブランドと言う必要もありません。全てが北極星に紐づいてきます。 企業からブランディングを頼まれる際も、まず北極星を決め、日本語で定義し、そこを目指す道筋を視覚化することを提案しています。今日も私なりに信州大学の北極星を考えてきましたが、それは後で述べるとして、実はブランディングって、半分はインナー対策だと思っているんです。8学部に散らばる研究者や職員、大学病院、附属学校など、いろいろな方々の意思を統一するためにも北極星の存在が必要ではないかと考えています。また目指す方向を信州大学側から指し示してあげることで、進路に迷う受験生や、時に卒業生の背中を押すことにもなるのではないかと思います。谷浩志さん(以下敬称略) 藤島さんからインナー対策の話もありましたがそのとブランドということを意識せず、シンプルに目標設定何を目指しているかすぐにイメージできる良いコピーは長く受け継がれる。(谷)04
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